AI技術は進歩を続けているAI(人工知能)の技術が進歩を続けています。10年ほど前にはロボットがぎこちなく歩くだけでも驚嘆の声が上がっていたことを思うと、ロボット産業の進歩の速さがわかりますね。
AIはすでにソフトバンクなど一部企業で接客担当者として活用されており、現在も進歩を続けています。そんなAIは感情をコントロールできるため、冷静さが大切なトレードに適した存在にも思えます。果たして来るべきAI時代に人間トレーダーは生き残れるのでしょうか。
感情のないAIトレーダーが市場に参入してくるとどうなる
AIが感情を排して市場に乗り込んでくると、ニュースに惑わされにくい市場になると考えられます。現在の市場では統計発表や政情不安といったニュースに対して、(人間トレーダーが多い)市場が過敏に反応しすぎることがあります。
この性質を利用し、行き過ぎた相場で取引し、利益を狙うことができます。AIトレーダーが増加すれば、こうした相場のゆがみが小さくなり、利益を上げられるチャンスが減るのではないかと考えます。
ただし、相場のゆがみが減ること自体は、為替レートの変動によって業績が大きな影響を受ける輸出・輸入企業にとっては朗報ですね。
投機的な取引によってゆがみが生じ、結果的に一部の企業を倒産に追い込むなど、悪者とみなされることもある為替相場が名誉挽回するには、AIトレーダーの存在が不可欠になるかもしれません。
人間トレーダーは生き残れるのか
AIトレーダーが市場を落ち着かせてしまえば、人間トレーダーはゆがみを利用して儲けづらくなってしまいます。では、人間トレーダーは市場から駆逐されるのでしょうか?
私はAIが1種類に統一されない限り、AI同士の戦いに割って入ることで人間トレーダーも利益を上げられると考えています。AIトレーダーが相場への影響力を増せば、あるAIが別のAIによる取引を誘発させ、利益を狙うことが考えられます。
この際に、攻撃側のAIが行う取引に便乗することができれば、人間トレーダーも利益を上げることができます。現在のトレードにおいても、国籍が異なる人間投資が激しい駆け引きを繰り広げています。
AIトレーダーが登場すれば駆け引きのパターンが変わってくると予想されますが、「人間が負け、AIが勝ち」といった明確な図式ができるとは思えません。
人間トレーダーが、AIトレーダーが活躍する新タイプの市場でも生き残っていくことを期待します。
AIトレーダーが人間を完全駆逐するのは困難
AIトレーダーは、時として不合理な行動をとる人間トレーダーを厄介者と感じる可能性があります。そのため、人間トレーダーを駆逐すべく、あの手この手を使ってくることもあり得ますね。
ただ、AIはあくまでも人間が開発したものです。そのため、あらゆる人間トレーダーを駆逐するだけの手腕を発揮できるとは思えません。もちろん、AI技術は日々進歩していますから、私の予想が覆される日があるもかもしれません。
しかし、「ロボットが人間の仕事を奪うのでは」などといった懸念に対して、私は懐疑的です。人間がやるからこそ、個人個人の差(バラツキ)が生まれ、そこがFXをはじめとする投資にかかわらず、利益の源泉ではないかと思います。経営学でも「差別化戦略」という言葉が出てきますしね。
人間トレーダーも腕を磨くべし
AIトレーダーは人間トレーダーを駆逐しない、というのが私の意見です。しかし、AIトレーダーによって人間トレーダーが厳しい立場に追い込まれる可能性はあります。
新たな統計データが発表されたり、金融政策が変更されたりすれば、それに対処するのは当然です。これと同様に、AIトレーダーが増加してきた場合には、人間トレーダーはAIの傾向をしっかりとつかみ、さらに腕に磨きをかけてトレードに参加してほしいと思います。
「優れたAIトレーダー」を見るのも楽しみですが、「AIに負けない人間」を見ることができる日をより楽しみにしています。