前回は、通貨の世界、つまり経済の世界では常にドルを中心にモノを考えるという話をしました。
⇒ アメリカは今後も世界一の経済圏を維持する
これは商品市場も同様で、原油やゴールドなどの原料、素材市場というのはその原料素材イコール、お金という考えに立地しているのです。
つまり、原油をお金と考えれば、お金の価値、つまドルの価値が上昇すれば、原油価格が下がるということになります。今、ファンドが原油を史上最高の売り越しというのは今後、ドルの価値が上昇することを見込んで原油を売っているのです。
それは、結局、ドル高ということですから、円安になりますよね。でも、ドル高はユーロ安になるのです。ユーロ安の起因というのは、ここ最近は「ドイツ銀行」になります。
株価は新安値を切り返して戻っていますが、「ドイツ銀行」の懸念というのはギリシャの「デフォルト」と原油価格です。ギリシャは国際的にはすでに「デフォルト」をしているのですが、その影響までドイツ、イコール「ドイツ銀行」が潰れてしまうので「デフォルト」と認定できないのです。
そして原油価格の買いポジションをおそらく大量に保有をしていますので「原油価格が下がると、ユーロが下がる」という連鎖に入っているのです。
少し、お話をしておけば原油先物というのは「WTI」では20年先の先物があり、おそらく「ドイツ銀行」はその多くの限月でポジションを保有し、その上、オプションまでトレードしていますので訳がわからないという状態なのであろうと思います。
おそらく新規限月の建て玉は行内の規定によって禁止をされていると思いますが、少なくても原油の含み損のポジション整理というのは今後、20年は続くとみたほうがよいでしょう。
ですから、ギリシャも忘れたころに「デフォルト」はすると思いますが、ドイツや「ドイツ銀行」も忘れたころに「デフォルト」になると思います。こういう状態なのに、ユーロの雄はドイツと信じている日本人は非常に多く驚きです。
今後、ユーロの覇権は「フランス」が握っていくのは明らかになっていくと思います。
あの嫌味なメルケルを支持するドイツ人が理解できませんし、ヒマさえあれば文句を言う、フランス人のラガルドIMF専務も理解しようがありません。ああいう人をみると新東京都知事の小池さんのほうが、よほど女性として尊敬できます。
なぜ、アジアは難しいのか?
アジアの雄はかつては日本になりましたが、今では誰の目にも中国というのはわかると思います。
しかし、中国の資本市場は、先ず為政者が資本市場の重要さを全く理解していません。去年の夏に上海取引所が、ほとんど閉鎖状態になったのは記憶に新しい話です。
為替市場にしても、同様で「管理フロート制」なんて、一応、自由市場を謳っていますが、実質はドルの固定相場、「ドルペッグ制」です。ですから中国市場に投資をしても為替リスクを取れませんので、自由市場である日本がモロに影響を受けるのです。
つまり中国に悪い事件が起こると日本のドル円相場は、円高に振れるのです。つまり、中国に悪い事件が起こることは人民元安になるのですが、ところが人民元は全く動かないので世界中の「ファンドマネージャー」は日本の為替や株等でヘッジをするのです。
反対に中国が好景気に恵まれると、人民元高ですから円安になるのです。こういうような為替状況になりますので、日本の景気というのは中国と一蓮托生になりますし、そもそも欧米人にとって日本人と中国人、韓国人の区別なんてないのが実態です。
ですから、私を含めて中国があまり好きではない人も、中国次第で日本も変わるのですから、ある程度の距離は必要だと思いますが、友好にならないといけないのです。こういうような状況がありますので、アジアの為替というのは非常に難しいのです。
オセアニア経済圏も同様
オセアニアの貿易相手国のナンバー1は、昔は日本で今は、中国です。
リスクの回避がおきると「実需」が一斉にオージー円を取引しますし、その崩壊の幅が大きいのはそのためでもあるのです。そして秋から楽観論が広がると思いますが、忘れてならないのは「アメリカの利上げ」です。
アメリカの利上げが行われれば自動的に、レパトリが起こりますので、今は新興国投資をするのは、何も学習していない証拠です。新興国投資というのは、アメリカの利上げ後に投資をするのが正解なのですが、なぜか新興国投資を推奨する営業マンが増えて迷惑な話です。
そういう方は自分で投資をしなさい、と言ってあげたいですね。今は「先進国の金融株やお金に投資する場面」というのが理解できない人が多いですね。
(この記事を書いた人:角野 實)