4/11からの一週間は地震あり、物価発表で郵貯、年金マネーの活躍で外国人投資家が踏まされるというような状況でなんだかわけのわからないような終わり方をしたと個人的な感想になります。では今後の展開を考えていきましょう。
円高傾向は継続
地震の直後にアメリカの財務長官が日本の円安政策に関して苦言を呈しました。これは、おそらく2月末の上海合意を意識したものになりますし、国際合意に反して日本政府が政府の主体性を否定するものの、年金、郵貯マネーを使い「介入」をしたことに対する意趣返しだと思います。
このような「介入」というものは、介入している官僚はおそらくその為替の方向性を変える意識はなく、つまり年初から続く円高傾向をもっとゆっくり円高にしようという意図があると思います。
経験則から「介入」を行ってもそのマーケットの方向性を変えることなど無駄な努力というのはプロアマ問わずにわかっていることですので、この円高方向への意識を変えるような材料は出ていないと思います。
一番、単純な円安方向への転換の第一条件は日本の物価上昇、そして二番目には中国を筆頭とする「新興国経済」の立ち直りが条件になると思います。
その時期に関しては最低3カ月の経過を観察しなければ用心深いファンドや投機家は反転させないと思います。つまり、それを反転させる期間というのは早くても5月以降になると思います。
つまり、秋には「新興国経済」の立ち直りは確認できますでしょうが、日本の物価に関しては無理だ、と個人的には思っています。
物価上昇に関して日銀の追加量的緩和が期待される市場
東日本大震災発生時には国際協調によって為替相場に「介入」が行われました。
これは日本の震災によって世界経済に与える影響が甚大であったからで、今回の地震は首都圏の機能マヒはありませんので世界各国は、影響は軽微という判断をしているのでしょう。
つまり、物価をあげることによって税収拡大、そして財政の均衡化を図るためにやっているとしたら返済のメドが立たない緩和の拡大、つまりお金のバラマキ政策をするとは考えづらいと思います。
量的緩和をしないもう一つの理由
東日本震災のころは、私も記憶があまりないのですが、実はインフラの壊滅的な打撃によって寧ろ物価はモノ不足によって上昇をしているのです。
もちろん、熊本と東日本という東京を含む首都という地域性はありますが、今回に関しては物資が不足しているとはあまり感じませんが、ある程度、特に車等の部品は不足するのであろうとは思います。
それが物価に与える影響というのはどのくらいあるかわかりません。しかし、過去データによれば震災直後に物価は上昇する傾向にあり、すぐに「量的緩和」を決定するということは無いように思います。しばらく経過を観察してからの判断になると思います。
注目の日銀の金融政策決定会合の内容は?
あくまでも個人的な予想になりますので、そこだけは踏まえていただきたいと思います。
今回に関しては通常ならば「量的金融緩和」の拡大はない、と断言してしまいますが、今回の熊本地震でどう変わったかという命題に関してあらゆるケースが考えられると思いますので自信はありません。
震災直後はどうなるか?
やはり経済は低迷しますので、東日本震災直後は物価が上昇しましたがその後は超円高時代と「デフレ」時代の到来です。最も、「デフレ」と円高はセットになりますので、どうあがいても円高でしょう、としかいいようがないですね。
(この記事を書いた人:角野 實)