現在のマーケットの世界というのは、数学や物理の世界でのモデルの考え方が基本となっています。
このモデルというのは、ファンドの種類によってモデル系ファンドというのが存在するように、要するに日本語でいえば方程式のような数式でマーケットの解を求めるような分析方法になります。
経済モデル、マーケットモデルの先駆者
冒頭で申し上げたように、オプションの適正価格を求める公式のことを「ブラックショールズモデル」といい、これによってオプションの適正価格は妥当な水準に保たれています。
ただし、誰も注目をしないようなオプションというのはかなり妥当性を欠いた値段提示のケースもあることが「リーマンショック」前にも確認されています。
このショールズ博士があの市場最大の破綻をした「LTCM」の顧問であったことは有名な話になります。その一方で、カードカウンティングからその確率論でマーケットに対峙をしたのはエド・ソープで彼も設立したファンドもかなりの運用利回り好評を博したファンドになりますが、最終的には脱税問題で解散を余議なくされました。
このように、結局、現在の経済モデルやマーケットモデルというのは結局のところ公式を探し出すか、適正な確率論を探しだす行為に他なりません。
モデルの欠陥
モデルの一番の欠陥というのは、想定外のことが起こると全く機能しないことが最大の問題点になります。古い話になると「ブラックマンデー」や9.11の世界同時テロなどがあります。
この暴落や事件は、どうやっても公式や確率論では推定できるものではなく、全くの想定外のことなので、モデル系のファンドを筆頭として全くマーケットでは機能をしなくなります。
これを一般の社会に適用していくと、今回の熊本地震は気象庁が言うように「想定外」の事態と言っている時点でもうすでに地震予測モデルは崩壊しているのです。
上記のように方程式を探しだすのは、過去のデータからこういう傾向を公式に転じるとこういう公式になる、ということになりますし、カードカウンティングからの確率論も過去のデータが存在しなければ確率論というのもあるわけがありません。
つまり、現代社会の最大の欠点というのは過去のデータに基づいた検証、ということになり、データがない場合は「想定外」という言葉で一括処理するのです。
そうなると今回の気象庁の発表などは、完全の予測不能と言っているのに等しいのにみなさんはメディア等を通じて情報を探し廻り、将来どうなるのかを探しだそうとしているのです。
つまり情報などいくら追求をしても何もわからないし、このような物理学でいう非均衡状態の世論下では答えなどない、ということになります。マーケットでいえば暴落中や暴騰中の状態ということに今回の地震はなります。
現代社会の問題点
最近はビックデータや人工知能、AIなどよく取りざたされていますが、結局、これらも過去データから方程式や確率論を探しているのにすぎません。
つまり、確かに均衡状態のときには、これらのビックデータやAIなどは非常に有効性のあるものと考えていいでしょう。しかし、いったん、均衡状態を離れ、非均衡状態になったときにはこれらのビックデータやAIが探しだす解というのは全く機能しない、ないしは最悪、害にしかならない可能性もあるということです。
つまりマーケットにしろ、一般の社会にしろ、現代社会は非均衡状態や不測の事態、もっと具体的にいえば、データにない想定外の数字が出たときには全く対処の仕様がない状態になるのです。
マーケットでいうテクニカル分析も過去データや確率論を基本に見出しますので同じことです。つまり、特に自然災害などは異常数値が頻発をしますので、想定外のことばかり起こります。
現代の研究が過去のデータによって研究がメインの現在、想定外のことがこれからももっと頻発することになると思います。それをマーケットでは儲けのチャンスととらえるか、それとも、危機管理が難しいと判断するかは個人の判断になるかと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)