新年度に入ってから、株価もドル円レートも急落症状にあります。
日曜日でマーケットもお休みということで、分析をしていたら簡単なことがわかりました。
物価と株価
下記の図は「系列1、青が日経平均」、「系列4、赤が物価」です。これは2005年1月からのデータになります。「経済指標」の原則通り、株価は先行指標になり景気より先に上昇しますので、物価より株価が先行して上昇するのが普通になります。
「アベノミクス」のスタート時、株価は底練りから急激に上昇し、その後、物価も上昇していくという経済学の基本通りでしたが、これ以降、変異がおきます。
なんと、物価が先に急落し始め、そして株価が後追いで急落をしているのです。
この状態はみなさん、異常状態なのです。なぜなら、株価がなぜ景気に先行して上昇するのかといえば、景気が上昇するということを見越して、新規の設備や商品を競って開発をするので資金需要も高まり、そしてその期待収益も期待できるので先行して株価は上昇するのです。
一方で物価というのは景気がよくなってくれば需給のバランスが崩れ、結果として供給不足になる。
この供給不足の状態が物価の上昇につながるのです。こういったロジックで「経済指標」をみると、去年から物価は下落しているのに株価が上昇というのは理論上あり得るわけがないのです。
この状態は何という?答えはバブル
「リーマンショック」はなんで起こったのかわかりますか?答えは小難しいことを考えなくても大丈夫です。世界の景気が後退をしていたのに、株価が上昇したから必要以上に暴落をしたのです。
この原因は?
何度も私が指摘したとおり、円相場は去年、ドルに対して15パーセントも売られていました。
今から考えるとバブルだったのだな、と思います。年明け120円から107円まで約10パーセントの下落になります。なぜ、ここで金曜日の相場で1円戻ったかといえば簡単で年初から10パーセント下落をしたから戻ったのです。
「介入」などできないのは承知していますが、閣僚が牽制発言をしたのは賢い判断です。
年明けから10パーセント暴騰したとことでやるぞ、やるぞ、と言っていたのですから効果は絶大ですね。単に株価は円安効果で上昇しただけであって、円安が剥落すれば株価は暴落するに決まっています。今後は、通常の考えと一緒で、下げが止まるまで売り続けることです。どこで止まるかなどわかりません。
書き逃していること
4月に利上げをする可能性のあるアメリカと記しました。今、これを書いている時点で報道は利上げの可能性は少なくなったといっていますが、それは間違い。
要するに、「イエレン議長」は「インフレ率」が2パーセントを超えると容赦なく利上げをするといっているのです。ですから直近の小売売上や、企業収益、「消費者物価指数」等の、物価に関する統計が物価を2パーセント押し上げる効果があると判断した場合は利上げをします。
予定では再利上げは年末の予定ですが「インフレ」が2パーセントを超えるとやるといっているのです。
今の状態を考えてください。年初からドル円が10パーセント上昇しているということはドル安が単純計算で10パーセント進行しているのですよ。
それが物価に反映されるのは、1-3カ月後になりますから、利上げの可能性を排除してはいけません。
(この記事を書いた人:角野 實)