アメリカの利上げに関して次回にしますが、私がいつも言うように年末にしか利上げはないと思い込むには少し状況が違ってきました。
「FOMC」の議事録ではその条件に関して詳細に解説をしており4月にはする「かもしれない」、と明言をしています。基本は年末ということには変わりがありません。
また、日本銀行の「マイナス金利」導入にしても一部の委員から撤回するのが妥当という意見も聞こえてきており、やはり「まとも」な考え方として「マイナス金利」は一部で言われるような円安効果ではなく、円高効果の方が高いと考えるのが自然のように思います。
今回のコラムは基本のお話になります。上級者にとっては当たり前の話なのですが、あまりにもこのことを理解していない人が多いのでやはり当然このことは知ってもらいたいという思いからこの記事を書くことに決めました。
ユーロ円が動かないか否か?
2015年の成長率が確定値としてほぼ出そろいました。つまり、今年の為替レートに関してはおそらく基準値は、ドル円に関しては112.8円くらい、ユーロドルに関しては1.06くらいになると思います。
また、詳細な計算は改めてご案内しますのでそちらをご覧ください。
その2015年の成長率に関しては「アメリカ2.4」「ユーロ1.6」「日本0.5」になります。
2016年の見通しに関しては「アメリカ2.6」「ユーロ1.7」「日本1.0」に「IMF」の見通しによるとなります。
この上記の数字でみると、「アメリカ2.4>ユーロ1.6>日本0.5」になり、2016年もこの順序になる可能性が高いということになります。
上記の数式をみると今年もドル最強になる可能性がつよく、平時の為替相場であるならばドルを買ってどの通貨を売るかと考える選択肢になります。
また、上記の式をみるとユーロが最強の通貨になる可能性はないということで、各種の経済統計をみても、アメリカよりもユーロが強くなることは無いと思います。
2月下旬の上海合意によってこの図式に変化あり?
「上海合意」は先に説明したようにドル安、人民元安に誘導するように、世界的な合意形成がなされたことになります。
この意味はこの会合が「G20」によって決定されたことであり、「G7」の決定であれば先進国のみの合意ですが、「G20」であれば新興国を含めた合意になります。つまり中国救済の意味合いも強いのですが、同時に新興国の経済危機にも配慮した内容になっています。
つまり経済成長の度合いがアメリカは一番いいという数字になりますが、この三極圏通貨に関しては「強制的にアメリカを最弱の通貨にする」という合意になります。
図式で表せば、「ユーロ>日本>アメリカ」になります。つまり、ユーロが最強の通貨になるということであって、アメリカは先進国の中でも弱い通貨に位置付けるということになります。
上記の図式をみて最強の通貨というのはユーロドル?
この図式ではユーロが最強でアメリカが最弱ということになります。しかし、2015年一年を通して、アメリカはドル高が進行することを嫌いましたが、実際には経済実態に合わせてドル高が進行しました。
ここで基準値を知っている我々の強みであってドル円に関しては最大で15パーセントもドル高を示現しましたが、ユーロドルに関しては8パーセント程度しかドル高を示現していません。
ユーロドルに関してはその取引が全為替取引の40パーセント以上の占有率になりますのでアメリカが最弱通貨になるとすればユーロ高はほぼ確定的になります。
しかし、ここで去年、基準値に比べて何パーセントドルを買ったかの順番を考えると図式は、
「日本15>ユーロ8>アメリカ0」になります。
この図式によれば、ドル円に関しては円が今年15パーセント程度の円高になる可能性があり、その基準値が112.8円と仮定すれば最大で95円程度円高が進行することになります。
ユーロ円に関しては基準値1.06×112.8で算出されますので119.5円程度がユーロ円の基準値になります。
ここで、15-8=7パーセントになりますので、119.5円に1.07を掛けると127.8円になります。今、3月25日現在のレートが126円程度になりますので、基準値と変わらない水準にありこのレートと比較をすると現在と変わりがありません。
ですから、テクニカル的にはユーロ円などは買いにしか見えようがありませんが、ファンダメンタルズを分析すると15パーセント稼働域があったとしてもここから上値があってもせいぜい8パーセント程度になります。
しかし、今年は円高の年と考えるとユーロドル×ドル円でユーロ円の換算式でユーロ円の基準値が算出されることを考えると安いという結論になりますね。
おまけ
今、ドル円レートを見ながら文章を書いていますーこの3/25の9時から10時からの値動きをみるとこれ、誰がドルを買っているの?と思います。
日本政府関係者としか考えられませんけどね。こういうのを介入相場という、典型例です。
(この記事を書いた人:角野 實)