私は今年が始まってからずっと「円高」になるといっていると思います。
実はそれは正しい表現ではなく、「ドル安の年になるよ」ということになります。この考え方の背景を少し解説をしていきたいと思います。
リーマンショックは500年に一度の相場
「リーマンショック」の金融市場の大混乱というのは、当時は100年に一度といわれましたが、いまではテールリスクの研究が進み現在では、500年に一度の暴落と言われています。
このテールリスクの研究がもっと進まない限り我々、投資家にとって永続的にマーケットから稼ぐことは無理ということは理解できると思います。
私たちがいつ起こるかわからない暴落のリスクにさらされていることは確実で、それがいつ起こるかは確率論の更なる発展が必要ということになります。
ですから、マーケットはわからないということを前提に予測を組み立てなければいけないというのが基本前提になります。
そういう意味では相場の将来はわからないという説明は、非常に合理的なものとなります。
しかし、実際にはいわゆる「リーマンショック」以降明らかになった通貨マフィアによってある程度の動きは見えることになります。今回は、そこに焦点を当て解説をしていきたいと思います。
リーマン以降の国際通貨の歴史
「リーマンショック」というのは結局、1970年代以降明らかになってきたアメリカの凋落の集大成になります。その間、ドル基軸の見直しが何度も行われ、現在では「IMF」による「SDR」によってその代理機能をも維持をしています。
基本的には、この1970年代から始まったアメリカの凋落は終焉を迎え、これからアメリカの第二次黎明期に向かっている最中になると思います。
この話は長くなりますので、機会があればお話をしますが、基本的にはドルは強いので長期をみて投資を行う方はドルを買うのがいいと思います。
「リーマンショック」はアメリカのインチキ加減が明らかになった事件でもある意味あります。
そこからの立ち直りする為に通貨マフィアたちはアメリカが凋落したとはいえ、世界経済はアメリカを中心に成り立っているので為替機能を使いドルを安くしてアメリカ経済を立ち直らせようとしているだけの話になります。
そこで日本は東日本大震災も前後にありましたが、2007年くらいから「超円高時代」に突入しているのです。なにせドル安なのですから。
その後、異次元緩和でドル安をいったん終了させ、円安の方向に向かっていこうという国際合意のうえ、円安相場が始まりました。
そして2014年10月の「FRB」の「QE」停止によって、世界政策によってそのドル安に終止符を打ったのです。これによって、商品価格や「新興国通貨」の下落が台頭したのです。なぜなら、ドル安がいったん終了をしたのですから。
今回の通貨マフィアの政策
今回のドル安政策のスタートというのは疑いなく中国になると思います。先ず世界第二位の経済大国になった中国経済が崩壊すると、間違いなく世界経済が大混乱に陥ることは確かです。
つまりドルのレートの変化に多少、「管理フロート制」ですので上下動しますが、基本的にはドルと人民元は連動しているという現状になります。
つまり、為替での調整機能を利用して人民元を安く誘導するというのは、結局ドルを下げるということと同じことになります。
簡単に「プラザ合意」を解説するとアメリカの経済凋落によってニューヨークのプラザホテルでドル安を各国が協調をするという合意であり、今回の上海合意はドル安、人民元安、そのほかの通貨高という合意に他なりません。
ではドル円に関してはドル安の政策がいつまでも続くのか、ということになります。
実は、日本円の2015年というのは私が再三言うように「やり過ぎた」のです。基準値が111.2円とすると安値が127円になりますので、15パーセント以上も売られてしまったのです。
今年や来年度を予測するうえでは去年、15パーセントも円は売り過ぎたのですから、最悪は15パーセント買われすぎた水準95円程度まで見ておかなければいけないと思います。
だったら最近の安値もドル円は、とらないのか?と思う方も多いと思うのですが、私はおそらく最大で118円くらいまではこの期末や4月にあるのではないか、と思っています。
この話はまた次回にて。今回の話は、この円高というのは「国際合意」に基づいた円高であって、平成28年度は中国の経済が安泰と確認できるまでは円高傾向は続きますよ、という話になります。
(この記事を書いた人:角野 實)