ドイツという国を想起した場合、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
勤勉でまじめという方がほとんどです。実際に個人的にはそう思うのですが、今回の下落の原因については「ドイツ銀行危機」もあるという説もありますので、検証をしてまいりましょう。
ドイツの金融機関
ドイツの大きな金融機関というと思い起こすのは、ドイツ銀行は当然としてコメルツ銀行があります。
両行ともに国の資本が入っており国営銀行という側面もあります。この二行が日本の都銀に当たるものと考えて結構です。「リーマンショック」のときに大きな被害を出したのはドイツ銀行になります。
ニューヨークのドイツ銀行ではAIG等の「CDS」を大量に購入をして「サブプライムローン」の破綻に備えており、それなりにうまく立ち回ったと言っても過言ではありませんが、世界中がアメリカの住宅市況で潤っていたのでこの銀行もサブプライムで構成される最高格付けのCDOを購入しようとしました。
しかし、国内ではこういったリスクの高い商品に投資をすることは非難が上がることは確実でしたので、ドイツ銀行本体は、海外にサブプライムローンで構成をされたファンドを作ったのです。
この動きはニューヨークのドイツ銀行との意思疎通は全くありませんので、リーマンブラザーズの破綻とともにドイツ銀行は巨額の赤字を出し、ニューヨークの運用成績を合わせても大損となったことが巷間で囁かれる「ドイツ銀行危機説」の根幹となります。
ドイツの国民性の勤勉でまじめというイメージは、基本的にはルールを守るという国民性になります。
つまり、格付け会社からお墨付きをもらったトリプルAランクの債券を運用したというルールの範囲内ということになりますのでドイツ銀行は結局、ルールを守って大損をしたという結果になります。
しかし、その格付けが実にいい加減なもので、はっきりいえば格付けがウソであったことにドイツは反省をしています。ルールさえも疑わなければ騙されることもあるのか!と。
ギリシャの救済案がまとまらないのはドイツの所為
ギリシャは最近、「デフォルト」騒動を起こしませんが、個人的にはまたどうせ、騒動を起こすと思っています。根本の原因は為替政策によって、経済を活性化できないことに起因があります。
為替操作というと語弊がありますが通貨安にしたくてもできないというならば、周辺国が助ければいいのです。それがヨーロッパ共同体の設立の趣意です。
その助けている国の筆頭がドイツであり、「リーマンショック」で大損したドイツ銀行です。なぜ、ギリシャ支援の包括協議で必ずドイツが最後までダダをこねるのは結局、ギリシャの借金を棒引きにするとドイツの存続そのものが危うくなるので、出来るだけ支援をしないようにしているだけの話です。
つまり、最近ではシリア難民をドイツは当初受け入れに対して難色を示していましたが、結局これは、財政難と国民生活もあまりよくないのに他人を助ける余裕があるのか、という非難の声に立ち向かうことができなかっただけの話です。
しかし、国際社会の非難の高まりとともに受け入れを開始をしたのが経緯になります。要するに南欧債務危機がスタートして5年が経過をしましたが、このドイツ銀行、並びにドイツの危機というものがまるで解決に至っていないのです。
通常は5年という月日があれば、世界の賢者があれこれと議論をして最高の再スタート地点を見つけ出すものですが、できなかったということになります。
しかし、ドイツ銀行に関して私は昨年の夏ぐらいから危機になると言っている通り、予測されていることでしたので大したことにはならないと考えています。
もちろん、世界第四位の経済大国のドイツの危機ですから相場に全く影響がないとはいいません。
当然、これが表面化したらマーケットの押し下げ効果が働きますが、リーマンや南欧債務危機のような騒動にはならないと思います。
しかし、考えてみてください。ドイツ人が日本を非難する理由として借金の多さがあります。現在のドイツの状況をみれば、他国のことだと笑ってられない状況です。
為替レートに関して
私はユーロに関しては依然として強気の姿勢です。基準値が「1.05」で現在、ユーロドルが「1.12」くらいです。単純計算で基準値よりも7パーセント程度買われています。
ドル円が単純計算で平均、去年1年間10パーセント買われていたのですから、1.17くらいまではいくだろうな、と予想はしています。
その根拠はユーロのクロスレートをみてください。円、ドル、ポンド、スイス、オージー、ニュージーほとんどすべての通貨に対してユーロは買われています。
これで緩和の額が小さいという評論家連中にはがっかりで、決して「ドラギ総裁」に対しては当たり前のことしかやらなかったというのが、「ドラギがっかり緩和」という事に対しての感想です。
そして、「マイナス金利」を導入した日本が円高にいくのも当然の話になります。マイナスレートを導入しているユーロ、スイスのクロスレートをみた場合どこも通貨高になっているのが現実です。それで円安になると言っている評論家にもがっかりと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)