日本とアメリカの「政策金利」が0.25pt開いたにも関わらず円高方向に相場が向かっています。本来なら金利の高い米ドルに日本からの資金が流出し、円安方向に流れ逆にドルは高くなるのがロジックのはずです。
本当に各国の「金融政策」によって決定された金利は経済動向に素直に反映されるのでしょうか?ここではそれを検証していきたいと思います。
そもそも政策金利とは?
昔は「日銀」の「公定歩合」というものがイコール「政策金利」になりましたが、今は日本が「公定歩合」が20年近くゼロに近い水準ですので、若い方は「公定歩合」という言葉さえも知らない若者は多いのではないでしょうか。
通常は、各国政府ないしは「中央銀行」が通貨を発行する場合そのお金を銀行に貸し出します。
もちろん、その貸してもらった銀行は返済義務があるのですが、その借りたお金を返済する際に金利を支払うレートのことを「公定歩合」といいます。
アメリカでの日本の「公定歩合」の金利に当たるものは「FFレート」と呼ばれており、「FRB」の「政策金利」とは別物になります。政府や「中央銀行」が景気が低迷しているときに市中の銀行を使って資金が潤沢に行き渡るようにすることを「金融緩和」といいます。
その際の貸出金利を引き下げることも「金融緩和」といいます。逆に金融引き締めはすべて逆転の現象のことをいいます。つまり、この「政策金利」の上げ、下げによって政府や「中央銀行」がやりたい政策を見抜く力が投資家には必要となるわけです。
そもそも利上げとは?
「利上げ」とは、簡単にいえば、私が何度も言う通り、景気が良すぎてこのペースで拡大をしていったら、バブルが起こってしまうので景気を冷やすために金利の引き上げを行うのはが一般的な「政策金利」の引き上げです。
アメリカでも約7年ぶりのことなのでこの金利の引き上げということ何の目的でやるのかをよくわかっていないまま、「利上げ」と喜んでいる人が多数です。
バブルはいつか破裂するもの
アメリカの「FRB」議長の会見の際には必ず、記者からはバブルの懸念がないのですか?という質問はある意味お約束になっています。つまり各国政府や「中央銀行」が一番恐れるのはバブルなのです。
なぜなら、「バブル景気」というのは経済の実態を無視して通貨や株などが上昇していくことになりますので、当然、経済学の常道としては正常な経済状態に終息するという理論があるからです。
ですから好景気を長続きさせるためには、バブルの発生は極力抑えたいものです。そのために「利上げ」を行うのです。
当然、アメリカやその金融機関から借金をしまくっているブラジル等の南米国家が債務の負担が増えるので財政危機に陥って当たり前の話です。
もちろん、借金まみれのアメリカに本社のある会社も倒産の危機があるのも当たり前の話になります。
だから、「ハイイールド債」危機が起こるのです。ところが今回は中国もおかしくなった、ということに合点がいかないという方も多いと思います。
中国の為替は実質の「ドルペッグ」制度、もっと簡単にいえばドルに連動している為替になります。
つまり、ドル高になれば、人民元安になりますし、逆も当たり前の話です。しかし、実質はドルと中国人民元は一緒の通貨と考え合わせることができます。
なぜならドルと中国人民元はリンクしているのですから。つまりそれを金利で当てはめていくと、アメリカの金利が上昇すれば実質人民元の金利も上がるのと一緒のことになります。
そうなれば中国は経済が大幅に減速をしているのですから、その上に金利が上昇すればどうなるのでしょうか?危機に陥って当たり前の話でしょう。
実際に中国人というのは、自分の国の通貨人民元を全く信用しておらず、ピークを過ぎたと思われるゴールドやドル、不動産を買いあっさっていることも考えれば実質、ドルと人民元は一緒の通貨ということになりますよね。ですから「利上げ」すれば中国の景気がなお一層減速するのは当たり前の話なのです。
では通貨に政策金利は関係ないのか?
はっきりいえば「政策金利」と通貨は関係ないと個人的には思います。
アメリカの10-12月期、1-3月期の「GDP」は悪いと思いますし、それを織り込んでくるのは4-6月期になると思います。つまり4-6月期の「GDP」が発表されるのは7月の末日になりますのでそこまでドル円は円高傾向になってもおかしくはない、というのが「政策金利」からの相場観になると思います。
(この記事を書いた人:角野 實)