SDR開発のきっかけ
1972年夏の「ニクソンショック」は誰でもしっている歴史的事実になると思います。
これに伴い日本は「変動為替相場」に移行し、現在でもその「変動為替相場制度」が維持をされています。この1970年代というのは、日本でいえば「オイルショック」があった年でもあり、またアメリカはベトナム戦争を遂行していた頃になります。
当然、アメリカは戦争を行っていたので、その戦費調達のために莫大な借金をしていたのです。
当時は「金本位制度」で、アメリカドルと金の価格が固定レートで定められていました。アメリカドルは戦費調達のために莫大な発行を許していましたので、当然ドルの価値は下がり、相対的に金の価格は上昇することになります。
そこに当時の西ドイツが手持ちのアメリカドルとゴールドを交換してくれ、と要求したのです。
この要求は頓挫をしましたが、このようなことを認めれば世界が大混乱に陥ることがよくわかると思います。そこで、アメリカ政府はこの金本位制度を停止して為替相場を変動性に移行したのです。
これが「ニクソンショック」です。ここで、わかるようにいかに大国アメリカといえどもその地位は絶対的なものではなく時と状況によってはアメリカドルの信認性が疑われることもある、ということが認識され始めたのもこの時です。
SDR、特別引き出し権
今も「日本経済新聞」に掲載をされているかわかりませんが、私が日本経済新聞を毎日読んでいた頃にはその「SDR」の価格が市況欄には必ず表記されていました。
結局、それは第二の「基軸通貨」という位置付けになりますので、ドル指数になりますのでその数字をチェックしても意味があまりありません。
この「SDR」開発の契機というのはアメリカの危機ということになりますので、その危機が新興国や先進国でも変わりがありません。危機が起こってその国家が「デフォルト」を起こすというのは結局、大幅に外貨準備が不足をしているときになります。
つまりつぶれそうな国家に誰も財産を預けたくありませんので、その国家から財産を全部売り払い、海外にその資金を持っていくのが通常の人の行動です。
つまり、外貨準備とはその国の財産状況を表すものと考えれば、その国家から財産がなくなっていくことと外貨準備の減少というのはイコールになります。その外貨準備が極端に減るということは、国から財産がなくなる、つまり「デフォルト」破産ということになります。
そういった危機を回避するために、「IMF」からお金を借りる行為を「IMF管理下」といいます。そのお金を「SDR」で渡すのが基本原則なのですが、昨今の韓国の「IMF管理下」入りをした場合などは日本円で全て賄っています。
つまり、「IMF管理下」に入ってもお金を貸すのはその近隣諸国で、その管理下に入るか否かを決定するのは「IMF」になります。
SDR構成通貨
この構成通貨は「中国人民元」が採用される前まではドル、ユーロ、ポンド、円になります。
この構成要因は国際貿易における決済通貨の割合になります。参考までに日本は4パーセント程度、中国は20パーセント弱の占有率になります。この占有率によって、構成比率が決まります。
総予算に対しての比率が国際貿易における占有比率イコール、「SDR」の構成通貨になります。
一方採用された中国は?
最近、富に中国の外貨準備が減少をしていることが話題になっています。しかし、中国が中国債券を発行することによって他国の外貨準備への対応を積極的に進めようとしています。
また、今年に中国政府
がアメリカ、日本、ユーロ、イギリスなどの「債券」を大量に売り払ったのは紛れもなくこの「SDR」加盟のための準備になると思います。もう夏には「IMF」のラガルド専務の発言を聞いていれば加入することは明白でしたので当然の行動になります。
がアメリカ、日本、ユーロ、イギリスなどの「債券」を大量に売り払ったのは紛れもなくこの「SDR」加盟のための準備になると思います。もう夏には「IMF」のラガルド専務の発言を聞いていれば加入することは明白でしたので当然の行動になります。
つまり、ドル安になる可能性は非常に高いのです。中国がそういった行動に出るのは、前回「人民元」を切り下げたのが夏のお盆の時期、世界的にサマーバケーションのときですね。今回、一番近いイベントはクリスマスになります。日本を除くほとんどの国がお休みですね。
(この記事を書いた人:角野 實)