一番重要なのは、過去の雇用統計が修正されたこと
もう雇用統計を見続けて15年以上になりますが、だいたいのケースでは「FRB」が「金融政策」の変更を行うときはこの雇用統計の数字をいじってくるというのは経験値でわかっています。
「
リーマンショック」の前も当月発表した雇用統計を見ながら、先月、先々月の数字をよく見直し、修正値を発表したのもよくありました。
もっとも「
FRB」が「
リーマンショック」の全貌をつかんでいたかといえばそれはかなりの疑問符がつくと思いますし、未だに「
サブプライムローン」がどういう商品であったのかもあまり理解をしていないように思います。
今年の9月の雇用統計は、よく考えると発表時に先月と、先々月の数字を下方修正をしたことを考えると「9月の利上げはない」と考えなければいけなかったのです。
そして今月、11月の雇用統計も内容は忘れましたが、先月、先々月の数字の修正値を上方に修正をしています。つまり、この雇用統計の数字をみると「12月に利上げをやりたい」という観測気球を上げているな。と推測することができます。
アメリカの問題点は?
アメリカの問題点というのは、そもそも、この大幅な「金融緩和」に踏み切ったのは「デフレ」防止策のために踏み切っているのです。ですから、日本同様、物価上昇率が一番の問題点になるのです。
物価上昇率は日本とは違い、1パーセント未満ですが上昇をしています。しかし、これは利上げさせる要因ではなく「
QE」でばらまいたお金を市場から回収する段になって初めて完全にアップトレンドに乗っているかどうかを判断するものです。
そして、今回おそらく「
イエレン議長」が
もっとも関心が高い賃金の上昇と物価上昇率の関係になります。(労働と景気の変動に関しての研究を彼女は多数している)
今回、物価上昇は1パーセント未満ですが賃金の上昇は2.5パーセントということになっているのです。この結果によってもっとも大きい課題がクリアされたことになります。
そのほか、ドル高と金利の問題もいろいろとありますが「
FRB」が明言している雇用の賃金上昇と物価上昇の2つを達成したので今回は利上げする公算が高いというのが「
FRB」の立場になります。
12月にFRBが利上げをした場合
おそらく「FRB」の声明を分析した場合、その幅0.25bpになると思います。そのときに10年物のアメリカ国債は単純平均で金利が2パーセント上昇します。
ドル円が120円を基準とするとその2パーセントというのは122円40銭くらいになると思います。つまり123円以上はドルを買いすぎ、122.4は居心地のいいところと解釈をすることができます。実際に相場はそうなっていると思います。
忘れてはならない中国の存在
中国はこの10月に「金融緩和」を行いました。「金融緩和」を行ったのですから人民元安、円高になって当たり前ですよね。その状況が10月中旬から11月上旬にかけての動きですよね。
しかし、アメリカが利上げをした場合はドル高、人民元安にいくら「
ドルペッグ制度」とはいえ、いきやくなるのは経済の常道からいけば当たり前の話です。人民元安になった場合は、また円高になりますよね。
中国の姿勢
中国は要するに今の国際的な流れでは中国の行動は全く支持されないのはよく承知をしていると思います。具体的には南沙諸島の問題になりますが、これは中国の内政も問題であって国際問題ではないのですが、付き合わされるアメリカ、日本、東アジア各国はたまったものではありません。
また、中国は外貨準備が減ることを極端に嫌います。つまり、アメリカが利上げをした場合「
人民元」からドルに資本の移動が行われる訳ですから単純に円高にいくと考えがちでしょう。
8月に「
人民元を切り下げた中国」は流出した外貨を取り戻すためにアメリカ、日本、ユーロ、イギリスなどの国債を市場で売り払ったのです。つまり、アメリカが利上げをしようものなら今回も外貨を失う訳ですから、先進国の「
国債」をまた売るのでしょうね。
共産党はなんとしても「
人民元安」からの資本の流出を避けたいのです。そういう場合は、経済をテコ入れしてまた資本が却ってくるように余所の国ではするのですが、中国の場合は外貨の持ち出しに厳しい制限がかかります。
また、上海株式の暴落でわかったと思いますが売りたいときに株が売れないという異常な市場なのですから、誰が投資などするのでしょうか?
つまり、経済を立て直しても、中国にはお金が却って来ないので、外貨準備を減らさないようにするのです。外貨準備を減らさないようにするには「
人民元」を高く誘導すればいいのですけどね。
そうなると円安になりますよね。世間は利上げをしたら円安、円安と囃しますが、経験上はならないと思っています。年末のクリスマス休暇に入った中国市場、「
中国共産党」の動き
には要注意です。