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中国人民元の切り下げの意味について・・第３回目の記事です。過去の記事は以下からどうぞ。
さて、前回の記事で中国も日本も市場に「公平性を欠く」ということは認識できましたでしょうか。
日本人からみれば、日本は中国よりはまし、という感覚でしょうが、アメリカ人からみれば目クソが鼻クソを笑っているという風にしか見えていないということは忘れてはいけません。
私からみれば、どちらも同じレベルであり、お互いをけなしあっているだけという感覚です。
記憶に新しい上海、中国株の暴落
7月には「中国の株が暴落した」と大騒ぎをしました。ちょうど、ギリシャのすったもんだの最中でしたのでかなり注目をされました。
しかし、その後のＩＭＦの世界成長見通しによると、中国の成長率は７パーセントで据え置かれ、また中国政府の見通しも７パーセントで据え置かれました。
なぜ、あれだけ株が暴落したのに、成長率は変わらないのに？と思うのが誰しも思うことです。
中国政府の報道官は「この数字は操作をしていない」とわざわざ言いましたがどうも、信用ができない、と思う方もいらっしゃいますが、ＩＭＦはそれを追認しているのですからね。信用せざるを得ません。
上海株はバブルでしょう。でも単なる調整です。上場銘柄の半数が売買停止に追い込まれている状況をみればバブル崩壊だろうと思う方もたくさんいらっしゃると思いますが、単に共産党の政府規制が稚拙すぎただけです。
通常の感覚でいえば、上場銘柄の半数が売買停止になればもう証券市場は終わりです。誰も、中国の証券市場など信用しませんが、まだ現存しています。
だから、調整なのです。前回の記事でも述べましたが、中国は人民元高、外貨準備を増やす政策をしています。おまけに、ＡＩＩＢという銀行を設立して、世界からお金を集めようとしています。何をしようとしているかといえば、一生懸命資金を集めようとしているのです。
外貨の使い道は？世界へ打って出る資金に
その資金の使い道はＩＭＦや世界銀行から借りたお金の返済と「世界侵略」というと語弊がありますが、世界への進出資金になります。
おそらく、中国はロシアを除く周辺諸国への進出や侵略を今後も行います。理由は簡単です。
このまま行けば、中国の人民は食べられなくなり、食べられなくなったら共産党幹部は全員、殺される運命です。「自分たちが、食べられないのはお前たちのせいだ！」と言ってフランス革命の国王みたいに殺されるのです。
ですから、このまま中国が成長し続けて、日本人並みに中国人が豊かになれば世界中から食べ物とエネルギーは無くなります。中国の侵略と進出の意味というのはそういう意味に他なりません。ですからこれからも進出と、侵略は止めるわけがありません。
発展途上国から先進国に入ったので、借りたお金は返さなければいけません。ですから、人民元高を誘導し、中国で稼いだお金を海外に持ち出ししないように人民元高を演出するのです。
実際、中国で稼いだお金を本国には送金はできません。そのくらい外貨の持ち出しには厳しい制限をされています。つまり、中国でバブルが発生するのは、余った投機資金が不動産や株の市場を巡回しているだけの話になります。
中国は景気がよくないので、海外に投資をしたいのですがそれを政府が認めません。ですから、株のバブルが崩壊したら、今度は不動産にお金がいくでしょうね。ただそれだけの話になります。
だから、単なる調整です。国内からお金は逃げていませんので経済成長率は、現状維持になるのです。実際に不動産市場は再びバブルになるでしょうね。
今回の切り下げの意味は？
さて、肝心な話のポイントになっていきます。
今回の切下げというのは「中国政府からすれば予定通り」になります。実は、中国政府は2010年以降、人民元を4パーセント切り下げる余地が国際合意の中であったのです。
しかし、国内に資金を滞留させたい北京はそれを放置していたのです。今回、切り下げたのは政策的な意味があります。まず、国連にはＩＭＦ管理下のＳＤＲという通貨制度があります。
これは、1970年以降、アメリカの国力が落ちて行くたびにアメリカドル危機が何度も叫ばれました。そこでドル基軸が万が一崩壊したときにそれを支える制度になります。
簡単な話、世界の主要国の通貨バスケット制度になります。その通貨のバスケットにドルや円、ユーロ、ポンドなどを入れて、それを世界の基軸通貨に採用しようという動きになります。
その制度の中に中国人民元がおそらく10月には入ります。これが、私は一番の目的だと思います。
次回が最終回です。更なる人民元安はあるか？についてお話していきます。
（この記事を書いた人：角野 實）
