ロスカットとは、国内のFX業者が金融庁の指導に基づいて設定している強制的なポジションの決済のことをいいます。
顧客が証拠金として預託している資金に一定金額以上の含み損が出た時に自動的に顧客に代わって強制決済をするというもので、消費者保護が大きな目的となっています。
ただ、こうした強制ロスカットが制度化されているのは日本だけの状況で、ある意味ではかなり珍しい仕組みともいえます。
ロスカットのタイミングは業者の自主規制によるものとなっていますので、証拠金維持率が100%を切ったところでロスカットしてくる業者もあれば、15%の維持率でロスカットをしてくる業者もいるので、取引している業者がどこのラインに設定しているのかについては取引開始時にしっかりと確認する必要があります。
ただ、この業者の設定するロスカットに引っかかるようでは、殆どの証拠金を失うことになりかねませんので、やはり自主的なルールに基づいて証拠金管理を行い、より手前の時点でしっかり損益を管理していくことが求められるのは言うまでもありません。
またこのロスカットの仕組みがあれば差し入れた証拠金以上の損害は出ないとタカを括っている個人投資家が多くなっていますが、実は証拠金を超える損失が出る可能性もあるのです。
例えば直近ではスコットランドの住民投票をめぐって賛成派有利の世論調査結果から月曜日の朝のポンドドルは前週からあっという間に100PIPS程度の窓空けではじまりましたが、このように金曜日にポジションを保有したまま大きなギャップダウンなどで多額の損害がでる位置まで相場が動いてしまった場合には、月曜日の朝のスタート時に証拠金額を上回る損害がでることもありうるのです。
リーマンショックの時には、自らストップロスを設定していなかったことから瞬間的に千万単位の証拠金を失い、しかも不足の補填を余儀なくされたトレーダーも続出しました。
もっとも危険なのは金曜日から月曜日の間に不測の事態が起きることで、インターバンクディーラー経験のある殆どのトレーダーは週を跨いでポジションを保有しないとも言われるほどこうしたリスクに気をつかっているのです。