米国におけるサブプライムローン問題とは、2007年に発覚した米国における低所得者向けの住宅ローンに絡む問題のことを指します。
ローン設定当初の数年間だけ金利が低くなっており、その後金利が高く返済金額が増える仕組みとなっていたため、先にいって支払ができなくなる低所得者が続出し、焦げ付きが増加、不動産価格自体も大きく下落し、結果的にローンの資金回収の見込みも絶たれたことから大きな問題となったのです。利用者の大半が年収3万ドル以下(当時の日本円で300万程度)であり、普通では審査が通らないような人でも利用できるローンでした。
サブプライムローンの象徴「NINJAローン」とは?
サブプライムローンの象徴といえば「NINJAローン」でしょう。
NINJAローンとはサブプライムローンのひとつで、・NI ノーインカム(無収入)・NJ ノージョブ(無職)・A ノーアセット(無一文)から来ています。このように無職や無収入でも借りられるローンだったのです。
さらに借金を返せない多重責務者や、アメリカ国籍を持っていなくてもOKだったというから、驚くしかありません。
なぜこのようなローンが成り立ったか?
NINJAローンのような無茶苦茶なローンが成り立った理由は、当時、2002年頃のアメリカは住宅バブルだったという背景があります。購入時3000万だった家が1年後は4000万と、家を買って持っておけば自然と値段が上がるような時代だったのです。
そのため、万が一ローンが返せなくなっても、金利が上がる前に家を売ってしまえばいい。家を売ればローンが返せるだけでなく、儲けがでるような時代でした。
それが理由で、ローン会社は「住宅が担保であるなら安心だ!」と低所得者にもお金を借せたのです。そのような理由で、NINJAローンのような無茶なローンが成り立ったのです。
サブライムローンの崩壊
しかし、バブルはいつまでも続くものではありません。2006年には米国の住宅バブルが崩壊します。
家の値段が暴落し、ローンを返せない人が急増しサブプライムローンも崩壊しました。その影響でサブプライムローンの大元であった、リーマン・ブラザーが倒産し、いわゆる「リーマンショック」が起きたのです。
なかなか実体が掴めなかった
サブプライムローンが小口の金融商品として幅広く出回ったため、当初はどれだけの影響が周辺の金融業界に広がるかが小額できず、リーマンブラザーズが破綻するまでに1年以上も迷走を続けることとなったのです。
モーゲージの業界をはじめとして、生命保険業界などもこれにより大きな痛手を被ることとなり、損失計上する企業が五月雨的に発生したのも、この状況を一層判りにくいものにしたことは事実です。
危ないといわれ始めてから決定的な状況に至るまで結構な時間の経過があったことも特筆すべき状況であり、こうしたリスクが短期間で一気に進まないということもしっかり示現した事例となりました。
このあとのリーマンの破綻から6年を経て、米国の株価は異常なほどの量的金融緩和に支えられて元の水準以上に回復していますが、多くの企業をつぶさないよう、また株価を引き上げるために必要以上にばら撒いた資金をどう回収するかという課題はいまだに残っている状態で、サブプライムが過去のものとは言えないのが米国経済の抱えている課題なのです。