現金通貨と民間の金融機関が保有する中央銀行預け金の合計をマネタリーベースと言います。日本銀行においては、「マネタリーベース=日本銀行券発行高+貨幣流通高+日銀当座預金」と定義しています。
似てるけど違う、マネーサプライとは
マネタリーベースと似た場面で使われる言葉に、マネーサプライがあります。政府及び金融機関を除いたもの(個人、企業、地方公共団体等)が保有する通貨のことをマネーサプライ、あるいはマネーストックと呼びます。マネーサプライと物価には強い関連性があり、マネーサプライを増やすことで物価は上がりやすくなり、減らすことで物価は下がりやすくなります。
では、そのマネーサプライはどのような手段で増減させるのでしょうか。
マネタリーベースとマネーサプライ
ここで出てくるのがマネタリーベースです。マネタリーベースは中央銀行が政策によってコントロールしますが、そこに信用乗数(貨幣乗数)を掛けあわせたものがマネーサプライとなります。信用乗数は一定ではないため、同規模のマネタリーベースの調整を行ったとしても、それがマネーサプライに与える影響は一定ではありません。
よって金融当局は、実体経済に則した形でマネタリーベースを調整することが求められています。
日本におけるマネタリーベースと物価上昇
2013年4月、日本銀行総裁の黒田東彦氏は、2%の物価目標を掲げ、マネタリーベースを2年で2倍にする政策を打ち出しました。この政策は円相場の大幅な下落と、輸出企業を中心とした株高をもたらしました。
ただし、物価に関しては2015年夏にも0%に落ち込むのではないかとも言われています。マネタリーベースの拡大により物価が上昇するという、教科書通りの動きになるのか注目されます。