第31代日本銀行総裁。財務官、大学院教授、アジア開発銀行総裁を経て、2013年3月「白川方明前総裁」の後を受けて日銀総裁に就きました。
前年に内閣総理大臣に就任した安倍晋三首相に掲げる経済政策、いわゆる「アベノミクス」の柱である、大胆な金融緩和をなしうる人材として任命されました。
想定以上の大規模緩和で目指すは物価目標2%
2013年4月、就任後最初の金融政策決定会合で黒田氏は、大規模な金融緩和に踏み切りました。2年程度で2%の物価目標を達成することを目標に掲げ、マネタリーベースを2年で2倍にすることなどを打ち出したのです。
この発表は市場に大きな影響を与え、急激な円安進行と株価の急騰、及び国債市場の乱高下をもたらしました。あまりの衝撃の大きさに、この決定は「黒田バズーカ」とも称されました。
黒田総裁の歩みを妨げたもの
その後、2014年4月の消費税増税が黒田氏の前に立ちはだかります。それまでの5%から8%に引き上げられた消費税が消費を減退させ、そこに「原油価格」の大幅な下落も重なり、物価目標の達成は困難ではないかという声が出始めました。
さらなる消費税増税の可否が決定される直前の2014年10月、黒田氏は動きます。「黒田バズーカ2」、つまり追加緩和です。
黒田日銀の先行きは?
2015年7月現在において「消費者物価」はマイナスに転落する可能性もささやかれています。
それでも黒田氏は、「2016年前半までに物価目標の達成は可能」と強気の姿勢を貫きます。対ドルで120円を超える円安が進行し、これ以上の円安には警戒感も広がる中、物価目標達成のためにさらなる追加緩和に踏み切るのか。黒田氏の次の一手に注目が集まります。