第20代内閣総理大臣。大蔵大臣を複数回務めた実績があります。功績としては、1927年の昭和恐慌の克服に際しての貢献が挙げられます。
昭和恐慌の克服に貢献した人物
髙橋是清の最大の功績が、昭和恐慌(1927)の克服です。昭和恐慌とは、第1次世界大戦に伴う好景気が終わったことや、関東大震災(1923)の発生により、日本経済が大きな落ち込みを見せたことを指しています。
恐慌が起こると、借金を返せなくなる企業が次々と現れます。その結果、貸したお金や、売った商品の代金を回収できなくなる企業が出てきて、さらにお金が回らなくなってしまいます。
髙橋是清は、こうした負の連鎖を止めるために、支払い猶予令(モラトリアム)を出しました。支払い猶予令とは、借金の返済の先送りを政府が認めることです。こうすることで、資金繰りに窮した企業が次々と発生するのを防ぐことができます。
髙橋是清は、インフレ政策を採用
髙橋是清は、恐慌への対処策として、支払い猶予令だけではなく、インフレ政策にも取り組みました。支払い猶予だけだと、一時的に危機は回避できても、借金を減らすことにはならないので、いずれは返済できなくなってしまいます。
そのため、インフレ政策をとり、貨幣価値を下げることで、実質的な借金額を減らしたのです。髙橋是清が行ったインフレ政策は、紙幣の増刷を通じて実現されました。この手法は、現代行われているいわゆる「量的金融緩和」と同じです。
公共事業にも積極的
髙橋是清は、景気をよくするために、公共事業にも積極的に取り組みました。公共事業を行うための資金は、公債を発行し、借金をすることで確保しました。
景気が悪いときは、民間でのお金の流れが少なくなりがちなので、政府が進んでお金を使うことが大切だ、との考えに基づいた取り組みでした。