PIIGSとは、ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字をとった言葉です。財政状態に問題があるとされているヨーロッパ諸国を指しています。
PIIGSがブタを表すPIGSを連想させることから、同じ5か国をGIIPSと表現することもあります。
ギリシャでは特に深刻
PIIGS5か国の中でも、ギリシャはとりわけ問題が深刻です。PIIGS諸国に対しては、財政破たんしないように、ECB(欧州中央銀行)やIMF(国際通貨基金)などから支援がなされています。
こうした支援を受けるにあたっては、公務員の給与削減や公共事業の先送りなど、財政支出を減らす努力が求められます。こうした緊縮的な財政政策には国民の反対がつきものではありますが、ギリシャでは特に反対の声が強いです。
そのため、ギリシャでは財政再建がなかなか前に進んでいない状態です。
共通通貨ユーロが問題を複雑に
ギリシャのように、支援の条件となる行動に積極的でない国に対しては、支援をストップし、実質的な制裁を加えるという選択肢があります。しかし、ギリシャは、ヨーロッパの多くの国々で用いられている共通通貨ユーロを採用していることから、ギリシャが破たんすれば、他のユーロ諸国にも悪影響が及びかねません。
ギリシャも、こうした事情も考慮に入れながら、財政改革を渋っているとも考えられます。ユーロ諸国内でも、PIIGS諸国の債務問題に対する取り組みで足並みがそろわないことがあります。
例えば、フランスとドイツは、債務問題に対する姿勢が異なることがあります。この背景には、ドイツマルク時代よりも、欧州ユーロ時代のほうが通貨安となり、自動車や化学などの輸出産業で恩恵を受けているというドイツの貿易事情があります。
財政状態があまりよくない国々へもユーロ圏を拡大していったことが、安易な決断だったのではないかとの批判も生まれています。