財政赤字とは、国や地方自治体において、収入よりも支出が多くなることを言います。
財政赤字の額が小さいうちは、公債を発行することができますが、赤字額が膨らんでくると国の信用力が低下し、最終的には公債を発行して借りたお金が返せなくなるという事態に至りかねません。
収入が減る要因
財政赤字が生じる理由の1つが、国や地方自治体に入ってくるお金が減ることです。具体例としては、不況になった場合にこのケースが発生しやすいです。不況になると、企業の利益が減少したり、個人の所得が落ち込んだりします。
その結果、税収が減少し、財政が厳しくなってしまいます。
また、不況のみならず、大規模な災害などによっても、収入が大きく減ってしまうことがあります。日本のような先進諸国では、税金をある程度うまく徴収できているのに対して、新興国では所得の把握が不十分すぎるなどして、税金をうまく集められていない場合があります。
こうしたケースでは、景気のよしあしに関わらず、収入が少なくなっています。
支出が増える要因
収入が安定していても、支出が増えれば財政赤字に向かってしまいます。支出が増える要因としては、過剰な公共事業の実施や、社会保障費の増大などが挙げられます。
過剰な公共事業の実施については、オリンピックや万国博覧会の開催などのほか、政治家の利権に絡んだハコモノやインフラの建設などに際して起こりやすいです。
公共事業の過剰実施については、政治の不透明さが相対的に強い発展途上国で多くみられます。いっぽう、社会保障費の増大は、少子高齢化が進む先進国で多くみられます。
日本でも、年金や医療保険の支出が増大しており、消費増税を行うなどして極力カバーする取り組みが行われています。
信用度が低下すれば利息負担が重くなる
財政赤字が膨らみ、信用力が低下すると、利回りを高くしないと公債を発行できなくなります。その結果、利息負担が重くのしかかり、財政支出を減らそうとしても、利払い費がかさむことで、なかなかうまくいかないケースがあります。
こうしたケースでは、急激な物価上昇(ハイパーインフレ)を引き起こして実質的な借金額を減らすなどの、大きな痛みを伴う措置をとらざるを得なくなる可能性があります。