マーストリヒト条約とは、1991年にヨーロッパで締結された条約です。EC(ヨーロッパ統合体)における統合度合いを高めるために締結されました。締結されたオランダの都市名が条約名となっています。
通貨統合が行われる
マーストリヒト条約では、通貨統合を行うことが決定されました。その結果、EU加盟の多くの国で、共通通貨ユーロが採用されました。
それまでに各国で使用されていたドイツマルクなどは使用されなくなりました。もっとも、英ポンドを今なお使用し続けているイギリスのように、EUに加盟してはいても、共通通貨ユーロを導入していない国もあります。共通通貨が採用されたことにより、域内貿易において為替レートの変動の影響を受けなくなるというメリットが生じました。
いっぽう、一国の債務危機が他国へ波及しやすくなるなどのデメリットも現れました。
EU創設につながる
マーストリヒト条約は、ECの統合度合いを高める内容となっています。
その結果、ECは規模と結束をともに拡大し、EU(ヨーロッパ連合)となりました。現在も存続しているEUの基礎となったのが、マーストリヒト条約です。マーストリヒト条約の締結に当たっては、EU大統領やEU議会などのシステムについても議論がありました。共通通貨採用による経済的統合のみならず、マーストリヒト条約を通じてヨーロッパは政治的統合も成し遂げました。
ただし、国によって意見が異なる問題が発生した場合には、スムーズな意思決定がしづらいといった問題点もあります。