軽減税率とは、消費税が8%から10%へ引き上げられるのに伴って、一部の品目にかかる税金を8%に据え置く制度のことです。
対象となるのは生活必需品
軽減税率が導入される目的は、低所得者の生活を苦しくしないことなどとされています。したがって、低所得者の消費に占める割合が高い、食料品などの生活必需品が軽減税率の対象とされます。
食品を消費する場合でも、外食など生活必需品とは認められない部分については軽減税率の対象外となり、10%の税金が課せられます。軽減税率については、低所得者のみならず高所得者が高級食材を購入する場合にも税負担が少なくなるため、低所得者支援にならないといった批判があります。
しかし、軽減税率は低所得者への給付金などと比べると、恒久的な措置となりやすいなどのメリットも持っています。
財政再建に向けた財源確保が必須
軽減税率によって国民生活をラクにすることには一定の意義があるといえます。しかし、日本の財政は借金が対GDPで高水準となっており、財政再建に向けた取り組みが急務とされています。したがって、軽減税率によって失われる税収分の財源をきちんと確保することが求められています。
というのも、少子高齢化が進む日本では社会保障費の増大はある程度避けられないため、歳出に見合うだけの歳入を税収である程度確保する必要があるからです。軽減税率の財源としては、たばこ税の増税などが考えられます。
消費税は10%に引き上げられたのちもさらに引き上げられる可能性があるため、その場合には軽減税率の対象となる品目もある程度税率を引き上げるのかや、軽減税率の追加財源をどう確保するのかなどといった課題が出てくることもありえます。軽減税率の導入については、財源の確保を常に念頭に置いておく必要があるといえます。