サーキットブレーカーとは、相場が短期間で急激に変動した際に取引を停止する措置を意味します。
相場の急変を抑えるが、かえって混乱が生じる場合も
サーキットブレーカーは本来、相場の急変を防ぐために存在します。なぜなら、取引をいったん停止させれば投資家が冷静な判断をしやすくなるからです。
また、取引停止している間に中央銀行などが新たな金融政策を発表するなどの対策をとり、市場が落ち着くことを目指した取り組みを行うことができます。サーキットブレーカーには時間を稼ぐ役割もあります。
ところが、サーキットブレーカーを導入したり、実際に発動したりすると、かえって市場の混乱が拡大してしまう場合があります。
投資家はサーキットブレーカーが発動されたことによって、相場が急落(あるいは急騰)する可能性をより強く意識してしまいます。こうなると、投資家の不安を抑える有効な手立てがないかぎり、サーキットブレーカーが解除されるとすぐに相場が急落する可能性が高くなってしまいます。
そのため、サーキットブレーカーを発動するかどうかを決定する際には、慎重な判断が求められます。
2015年から中国でも導入・発動される
中国では高い経済成長率を背景に、株式市場にも多くの投機マネーが流入していました。
ところが、2015年に中国経済の減速傾向が鮮明になるなかで、株式市場においても先を見通すことが難しくなっていきました。その結果として、2015年夏ごろから中国の株式市場で急落が起こりました。
株価急落は、信用取引などで大きな利益を上げていた投資家を直撃し、大量の借金にまみれる人も現れました。こうした事態に対処すべく、中国はサーキットブレーカーを導入しました。
サーキットブレーカーの導入に一定の効果が見られたものの、完全に市場を落ち着かせることはできず、2016年にも、中国でサーキットブレーカーが発動される事態となりました。