家計貯蓄率とは、消費支出(モノやサービスを購入する目的の支出)に使える金額のうち、どのくらいを家計が貯蓄しているかを示す値です。
家計貯蓄率が高いときは、投資や消費が控えられている
家計貯蓄率が高いと聞けば、家計の財産が増えているから良いのではないか、と思いがちです。
しかし、貯蓄しているだけだと、世の中でお金が出回りにくくなってしまいます。貯蓄率が高いことは、投資や消費が控えられていることを意味している可能性があるのです。
また、家計貯蓄率は税金や保険料などの非消費支出の負担が重くなり、消費支出に回せる金額が減少すれば高くなる傾向があります。あくまでも、消費支出に占める貯蓄の割合なので、家計貯蓄率が高くなったからといって、家計の貯蓄額が増えたとは限らない点に注意が必要です。
高齢化が進めば家計貯蓄率は減少
日本では、家計貯蓄率は減少傾向にあります。その理由の1つとして、高齢化が挙げられます。
高齢化が進めば、年金だけでは生活していけず、現役時代の貯蓄を取り崩しながら生活する高齢者の割合が増加します。
その結果、日本全体の家計貯蓄率も減少してしまいます。家計貯蓄率の減少が続けば、日本の財政にも影響が及ぶ可能性があります。というのも、日本の財政赤字は他の先進国と比べて多いからです。
それにもかかわらず日本が財政破たんしない理由として、家計の貯蓄が豊富なことが挙げられています。
そのため、家計の貯蓄が減少していけば、日本の財政に対する国際的な信頼度が低下する可能性があります。日本国債などに投資する際には、家計貯蓄率の推移についても一定の関心を払っておく必要があるといえます。