管理フロート制とは、市場で決まる為替レートが一定の範囲から出ないよう、中央銀行が管理する仕組みのことです。
市場の動きを見つつレートを調整できる
管理フロート制では、市場での取引状況を見ながら、変動を認めるレートの範囲を調整することができます。したがって、中央銀行は経済指標などだけから判断してレートを決定する必要がありません。
その結果、実体経済と大きくかい離した為替レートになる可能性を下げることができます。また、完全な変動相場制(フロート制)ではないため、国の意思を反映した為替レートに誘導することができます。
というのも、自国の輸出産業を支援したいと考える場合には、為替レートの変動範囲を低めに設定すればよいからです。こうすることで自国通貨は安くなり、輸出産業への刺激になります。
ただし、あまりにも自国の政策として為替レートを意図的に操作する姿勢が目立てば、世界各国から批判を受ける可能性があります。特に、近隣に輸出が盛んな国がある場合には、自国通貨安政策は嫌われる場合が多くあります。
中国が採用
現在、管理フロート制を採用している国としては、中国が挙げられます。かつて中国は米ドルと連動するドル・ペッグ制の相場でした。しかし、アメリカなどから人民元のレートが安すぎるとの批判を受けたことにより、管理フロート制に移行しました。
管理フロート制に移行してからは、緩やかに人民元高の方向にレートが推移しました。ところが、2015年夏ごろから中国経済の落ち込みが明らかとなったため、中国人民銀行は人民元のレートを切り下げ、自国の輸出産業を支える方向に動きました。