「アルゴリズム」と聞くと誰でも思い浮かべるのはコンピューターのプログラミングのことです。
ただ、正確に言えば単なるプログラミングではなく、問題を解く出順といったものを、単純な計算や操作の組み合わせとして明確に定義したもので、これをコンピュータ上で走らせて処理を行うことで、スピードを重視する取引が注目されるようになりました。
人間が目で見て行う処理の数千倍から数万倍以上の速さで結果を出せることから、90年代後半以降金融業界でもこのアルゴリズムのプログラムをコンピュータ上で高速に実行させて、金融取引に積極的に利用する動きが高まっています。
アルゴリズムトレードとは?
金融市場における「アルゴリズムトレード」とはアルゴリズムを利用したコンピュータによる「自動売買」のことを意味します。「ボラティリティ」つまり値幅の広がりをリスクとして捕らえながら売買を行っていくことになります。
このトレードには、あらかじめ想定された数理的な分析の範囲内で売買を繰り返す一定の売買パターンと、想定外な事象が発生したときに売買を停止させる判断が組み合わされることが基本です。
したがってリスクオフの究極の最終判断は、人間がスイッチを切ることで行われることが多くなるのです。
すべてが自動売買で完璧に実現されるわけではないところがアルゴリズムトレードのある意味での特徴ともいえます。
本来アルゴリズムトレードには取引のスピードは伴いませんでした。
HFTは1000分の1秒で売買が執行
金融市場には2000年以降から「HFT」,ハイフリークエンシートレードというものが株式市場、為替市場を中心に利用されるようになっています。
こちらはコンピュータを使った高速売買のことで、もちろん一定のアルゴリズムを実装していますが、最大の特徴は「1000分の1秒単位で売買が執行」されることです。
この「HFT」による売買では一般のアルゴリズムとは異なり、金融市場での取引が不確実な情報下でも行われなくてはならない点が大きな違いになります。
つまり一般的にアルゴリズムトレードは市場データの分析を元にして作られるものですが、HFTは短時間にコンピュータによる執行を具体化するプログラムが優先して利用されていることがわかります。
「HFT」のほうはリスクをコントロールしにくいという大きな問題があり、通常は価格の変動幅を狭い範囲に抑えて売買していることがほとんどといわれています。
HFTは直近の金融市場でも非常に多く利用されていますが、後で締めて見ますと利益率はそれほど高くないという話もあり、異常に相場を揺り動かす存在ではあるものの、利用者も無限の利益を享受できているわけではないというなかなか微妙な存在になってきていることがわかります。