ロンドンフィックスは正確には「ロンドンフィキシング」と呼ばれるもので、東京市場で朝9時55分に顧客向けのその日の為替取引における基準レートが決まるのと同じように、ロンドンでも顧客向けの基準レートが決まる時間のことを言います。
夏時間ではロンドンフィックスは深夜の12時になりますが、冬時間では一時間ほど遅くなり午前1時がこの時間となります。
本来はNYタイムの中心時間ですが、この時間になるとロンドンに多くの「実需」の売りや買いが持ち込まれることになることから、ユーロやポンドの動きが活発になり、ドル円も日本の金融機関から売買が持ち込まれることも多く、他の通貨ペアとともに動くことになります。
世界の市場の4割が集まるロンドン市場
もともとはこのフィキシング(値決め)は金のスポット価格を決めるところから来ているものですが、今では為替市場でのロンドンフィックスも有名なものになっています。
ロンドン市場は為替も「世界の市場の4割近くの売買」が常に集まることから、ロンドンフィックスでの売買は非常に多額のものになっていることがわかります。
以前と比べると穏やかな値動きになってはいるが・・
以前はかなりこの時間の取引を巡って激しく相場が動くことがあったのですが、数年前に「インターバンクディーラー」により「LIBOR」ロンドン銀行間金利を不正に取引しているという問題が発覚して以降、かなりのトレーダーが処罰され職を追われることとなりました。
それ以降はこの時間帯の取引での価格の変動は沈静化しており、値動きも「実需」中心で昔に比べるとかなり穏やかなものになってきています。
ただ「実需」面ではユーロポンドなどは、月次で最終日に一定以上のフローが発生し、ポンドが夜の12時近くに急劇に上昇するといった定番の動きも確認されており、どのようなフローが定期的にでるのかを知っていますと思わぬ利益を毎回手にすることができる時間でもあるのです。
UKのEU離脱の影響は?
為替市場では有価証券の決済に絡むオーダーが多いのもロンドンフィックスの特徴で、もともとロンドン市場は扱いボリュームが非常に多いことから、この有価証券関連の取引は全体として大きくなる傾向があるといえます。
日本の証券業者も投資ファンドの設定のために、東京市場ではなくロンドンフィックスのタイミングにドル円をはじめとする通貨の売買を行っているところも多く、結果として常に「取引量は世界一の規模」を維持している状況です。
「UK」の「EU離脱」を巡っては「シティ」の金融市場がこの先どうなるのかを心配する声も聞かれていますが、英国人トレーダーが殆どで構成されている関係上他国に移ることはありえないといった指摘もでてきており、当分ロンドンフィックスでのボリュームのある商いは続きそうです。