2016年2月26日、27日の両日、中国の上海で初めて開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催され、中国が議長国となりながら世界経済や金融市場、株式市場に関する問題点などが話し合われました。
その中で、非公式ながら為替市場における「ドル高抑制」についてなんらかの合意がされたのではないか、といわれているのがこの「上海合意」です。
存在はまったく確認できない合意内容
この上海合意については公式的には参加者の誰からもその存在を肯定する発言はでていませんが、概ね次の二つのことが関係国で合意されたのではないかと憶測されています。
まず一つが「FRB」は資源国や新興国の通貨や株価の暴落を避けるため、できるかぎり利上げを急がないものとする。
そしてもう一つが中国は人民元の切り下げを回避し、関係各国も通貨安戦争を回避するというものです。
この報道が出た当初は所詮憶測に過ぎないという見方が市場で強まりましたが、その後、市場の動きがかなりこの合意に基づいたような形になったことから、やはり合意は本当だったのではないかといわれるようになっているのです。
一方で「米国FRB」の「イエレン議長」は「ハト派的」な発言を繰り返し、利上げがかなり遠のいた印象を市場に与えることにより、新興国市場の相場や為替が安定するようになり、資源国の「コモディティ」も大きく買い戻されることとなりました。
また「安倍総理」を含む各国首脳も通貨安戦争を回避する旨の発言をその後繰り返し、とくに安倍首相は4月6日にWSJのインタビューに答えて、あえてドル円が下落しているときに「介入」しない旨の報道がでたことから、ドル円が大きく売られるというアクシデントも起こしています。
確かにこの合意の話がでてから非常に相場が落ち着くことになったのは間違いなく、とくに新興国と資源国の通貨および株式市場は久々に大きく相場を戻す展開となってことから、人為的な動きの可能性を肯定する形となっています。
一方「BOA」はこうした合意は無かったと反論しています。既にドル安政策は2015年末に米国が利上げしたときから動き始めているもので、上海「G20」で急劇にその動きが強まったわけではないというのが同行の見方です。
結果としてはこの合意があったかどうかは今や確認する方法すらない状態ではありますが「米国FRB」が他国の経済状況に配慮して利上げ時期を考えるようになったことだけは間違いありません。
どこまでの参加国で合意されたかは全くわかりませんが、少なくとも米中と主要国だけを入れた形でこの内容に近い合意が形成された可能性が依然として否定できない状況です。