「Sell in May」とは、米国の株式市場における諺で、正確には「Sell in May, and go away; don’t come back until St Leger day. 」と呼ばれるものです。
日本語訳しますと5月に売って8月第二土曜日まで戻ってくるなという意味になります。
ただし、若干市場での誤解があるのは、5月に売れというのは5月に相場が下落するのではなく6月以降に下落するので5月中に売っておけという意味だということです。
Sell in Mayだけが一人歩きする状況
この「Sell in May」という言葉は国内でも広範に使われるようになってきているため、日経平均など国内株式市場でも同様の状況であると認識されるようになっていますが、これはあくまで米国のものであり、日本にそのまま当てはまるとは限らないことだけはしっかり理解しておく必要があります。
最近の日本の株式市場の状況かいいますと10月末のハロウィンのころに仕入れて、翌年の4月までに売ることが比較的効率のいい相場運用になるといわれています。
しかしながら2016年はこのアノマリーが効かない相場展開となってしまい、年明けから大きく相場が低迷するという状況になりましたので、必ずしもSell in Mayにはなっていないことが判ります。
中央銀行の政策決定に大きく影響を受ける相場
ここ数年の株式市場は主要国各国の中央銀行の政策決定によって相場が大きく振らされることになっており、必ずしも以前からのこうしたシーズナリーサイクルがうまく適用されなくなりつつあります。
ただ、米国の株式市場は、明らかに9月から10月末までにかけては下落を演じることが多く、それにあわせて為替のドル円も下落することから国内では日経平均がこれに連動して一緒に下落することが多くなっていることだけは間違いありません。
しかし5月から8月にかけては単純に撤退していたほうがいいとはいえない動きも示現しており、Sell in Mayはそのまま国内でも当てはまるとはなかなか言い切れないことが多くなっています。
米国は利上げのタイミング次第の状況
こと米国の株式市場でいいますと、FRBが利上げをすることが明確になり実際に利上げが行われてしまいますと5月であろうが12月であろうが相場は大きく下落することになってしまいます。
また利上げが先送りという観測が高まりますと2016年の夏のようにS&PもNYダウもナスダックも史上最高値を更新するといった動きを示現することもありますので、この諺もそのまますんなりとはワークしなくなっているのです。
世界的な低金利時代の到来で投資先を失った資金が大きく米国市場になだれ込み、株価を上昇させるようになっており、これまでの米国の株価サイクルに変化が生じていることは間違いない状況にあることだけは確かになってきています。