金融市場関連のニュースやブログに多く登場するのがデリバティブと呼ばれる商品です。こうした商品は既存の金融商品保有のリスクを低下させるために売買されることもありますし、この商品自体のリスクを覚悟した上で収益性を確保するために売買されることもあるのです。
デリバティブ取引に先物取引と呼ばれる将来売買を行うことをあらかじめ約束する取引と、オプション取引と呼ばれる将来売買する権利をあらかじめ倍最する取引があり、商品によってその組み合わせが多岐にわてり様々な取引形態が存在することになります。
こうした商品は日本語では金融派生商品などとも呼ばれますが、FXの世界で言えば通貨ペアのオプション取引は典型的なデリバティブになりますし、株などの先物売買もこのカテゴリーに入ることになります。
デリバティブの種類について
デリバティブ取引の種類は概ね3つに分かれます。一つは先物取引であり、もうひとつはオプション取引、そしてさらにスワップ取引に大別されています。
先物は株式指数先物もあれば為替予約もこれに入りますし、商品先物などがこのカテゴリーに含まれます。オプションは株価、金利、通貨などのオプション商品が設定されており、売買が可能です。
先物取引とは
先物については将来価格が値上がりすると想定した場合には現時点において購入価格を確定して買う約束をすることにより値上がりリスクをヘッジする買いヘッジや、逆に将来値下がりする恐れがある場合には現時点で価格を決めて売る売りヘッジに使うことができるようになっています。
もちろん相場の見立てを逆さまに動けばその分は損失になります。メーカーなどで輸出入を行っているところは為替も先物取引をすることが為替予約を行っています。
これも確実に円高が進行するようなトレンドのでている局面であれば予約の妙味がありますが、方向が間違えば大きな損失を計上することになり注意が必要となります。
1985年代、国内で後に一旦破綻となった親方日の丸の航空会社がこともあろうに10年分の為替予約を間違った方向に行って大損失を出した経緯があり、かなりの見識が求められる取引手法ということがいえます。
オプション取引
一方オプションのほうは、金融商品をあらかじめ決めた価格で売買するかしないかを選択することのできる権利ということができます。
FXの世界でも一定の価格にコールやプットといったオプションの設定ができるようになっており、その権利を売買することが可能となっていますが、先物取引と異なるのはその権利を行使してもしなくてもいいことで、損になる場合にはオプションの売買費用だけ負担すればそれ以上の損失は免れる点が大きな違いとなります。コールオプションは行使価格で商品を買う権利のことを指し、プットオプションは行使価格で商品を売る権利のことを指します。
このオプションの購入代金のことをオプションプレミアムと呼んでいます。このオプションの使い方も単に投機として売買するケースもありますし、既存でもっている商品のリスクヘッジのために反対売買のオプションを購入して保有するというケースも存在し、利用者によって用途はまちまちとなります。
デリバティブ取引
さらにデリバティブにおけるスワップ取引は、将来にわたって発生する利息を交換することになります。
同じ通貨ペアで異なるタイプの利息を交換するのが金利スワップと呼ばれるもので、異なる通貨の利息などを交換する通貨スワップやクーポンスワップといったものが存在します。
スワップ取引というのは将来の金利変動リスクをヘッジする手法として金融機関のあいだで急速に広まることとなり、企業の財務管理にも用いられるようになっています。
最近ではその汎用性の高さから個人向け金融商品の中にも多く登場するようになってきているのです。金利スワップの中でもともポピュラーなものとなるのが変動金利と固定金利の交換で、こちらは日常的に取引がお行われるようになっています。
このようにデリバティブはいまやかなりの商品領域に多岐に渡る組み合わせ商品が登場していますが、現物投資を行うよりも少ない資金で売買できる分損失がでると大きく膨らむことになり、市場に対する目利き感がないと非常にリスクが大きくなる部分をもった商品でもあります。