「BREXIT」とは英国のEU離脱をさす造語で「BRITAIN」と「EXIT」をあわせて作られた言葉です。
2016年6月23日にその是非を問う国民投票が行われたことで俄然注目を浴びる言葉となりました。
英国国民はEUに加盟してから、移民問題や南欧の問題への費用負担などに強い不快感を示してきましたが、当時の「キャメロン首相」が総選挙の際に、さらなる国民の支持をとるためにEU離脱の可否を問う国民投票を実施すると公約して当選してしまったことから、こうした事態に進展することになりました。
2016年6月24日の投票結果では、まさかのEU離脱が大勢を占めるという結果がでてしまい、英国のEU離脱が正式に決定する運びとなってしまったのです。
事前の予想では、EU残留が主流といわれ、投票終了直後の予想でもEU残留優位と伝わったことから一時的に株も為替も大きく買上げられることとなりましたが、結果は全く逆さまで離脱が残留を上回る結果となり、相場は大きく下落する展開になりました。
2016年の為替相場では、「BREXIT」が世界を揺るがす最大の相場下落イベントとなってしまったことは間違いありません。
もともと法的には何の拘束力もない投票ということではありましたが、キャメロン首相は責任をとって辞任し、英国は大きくその体制を変更することとなりました。
EU離脱交渉は2017年から
新たに後任の首相となった「メイ女史」は、年内のEUとの離脱交渉は避け、年明けから開始することを宣言していますが、この国民投票をやり直すつもりはないと明確に言い切っており、とにかく英国がEUから離脱することは間違いない状況となりました。
しかし皮肉なのは、当初多くのエコノミストが英国経済が悲惨な状況に陥ると予想したものの、具体的に離脱交渉が始まっていない中でポンド安だけが示現したことから、英国の株式市場FTSEは大幅に上昇するなど、今のところは当初危惧されたような状況にはなっていないことです。
この先も、もちろんマイナスの影響が現実のものとなる可能性はありますが、地域連携に巻き困れずにEUとの新たな関係を模索することが可能になれば、意外に賢明な選択となる可能性もでてきているのです。
むしろ2017年以降EU加盟国のフランスやスペインなどの諸国が英国と同様に離脱の動きを加速させることなると、EU自体の存続が危ぶまれる状況になりそうで、問題はEU側で拡大しそうな流れになってきています。
もともとEUは独仏の協調体制から考案されたもので、ユーロもフランスのアイデアで導入されたものですが、フランスなりドイツなりという主軸になる国がEUから離脱することになれば、ヨーロッパ連合自体が崩壊になる恐れもあり、その引き金となってしまうのが6月に実施されてしまったこの「BREXIT」の投票となる可能性が高まっているのです。