国内の個人投資家が売買する通貨ペアは、6割以上が「ドル円」となっています。
また、2014年現在、世界のFXの57%占めるのが日本の投資家です。
このことから、ドル円は為替取引全体ではユーロドルに次ぐ規模ですが、FX証拠金取引としては非常に大きな位置を占めるものとなっています。
それだけにドル円の相場が動けば活況を呈することになりますし、停滞して殆ど動かない状況になると取引も大きく減少するという、FX業界にとっても極めて重要な通貨ペアになってきているといえます。
実際問題2014年の9月から相場が急激に円安にむかい出して、各FX業者の扱い高が急伸するほど、ドル円は個人投資家のFX取引に影響を与えるものとなっているのです。
ドル円の歴史
日本は、サンフランシスコ講和条約で戦後社会に復帰して以降は「ニクソンショック」で変動相場制が敷かれるようになった1971年まで「1ドル360円」の固定相場でした。つまり、戦後から26年間は、ある意味「為替売買」とは関係ない時期が長く続いていたのです。
しかし、その後は先進主要国との関係の中で、急激に円高方向に進むこととなり、1985年のプラザ合意以降は徐々に円高へとシフトしていきました。
バブル経済後の90年代以降はデフレ状況が明確になり、貿易黒字とともに大幅な円高時代を迎え、結果として2011年の東日本大震災直後に急激な円高に見舞われ史上最高の75円台まで円高が進行することとなっています。
しかし、記憶に新しい2012年末の、民主党から自民党への政権交代以降は、政府を挙げてのデフレ対策と日銀による未曾有の金融緩和策が功を奏し、9月後半にはリーマンショック前程度まで円高が是正されることになりました。
直近では、輸出系企業の海外への生産拠点移動が進むこととなり、これまでのような貿易黒字が確保できない社会となってきたなど、ファンダメンタルズ的には円安が継続しやすい傾向が続いている状況にあります。
ドル円の動きの特徴
ユーロ円やポンド円などの他のクロス円と比較すると、ドル円の値動きは大人しいです。一日の値動きとしては、特別な材料がなければ、50pips以下の事が多く、ボラティリティの激しさを望んでいる投資家にとっては、物足りない通貨ペアです。
ドル円の動きは東京時間では、日経平均株価との連動性が高く、日経平均が上がるとドル円も東京時間ではリンクして上昇することが多くなっています。
一方ニューヨーク時間では米国の10年債ものの利回りや、NY株式市場の動きとの連動感が一段と高まる傾向があります。東京時間とロンドン以降の時間帯では、多少センチメントが変わることがあるのが、最近のドル円の特徴となっています。
ドル円はこんな人にお勧め
前述したように、ボラティリティ(値幅)が少ない通貨ペアですので、FXに慣れていない初心者の方にお勧めです。
米ドルに関する情報は国内でもっとも多くとれるため、取引しやすいのも初心者トレーダーに有利なポイントとなります。例えば、朝や昼のニュースでは、ドル円のレートは必ず放送します。この事から、日本人にとって最も馴染みがある通貨ペアであり、情報を仕入れやすい事が分かります。
ドル円は、国内のFX業者は最狭スプレッドのところがほとんどで、無駄な手数料を掛けずに取引できます。
また、1000通貨単位が可能な業者であれば、4,000円程度の証拠金で売買をスタートできるのも大きなメリットです。
FX関連のサイトでも、ドル円に関するデイリーの情報が非常に多くなっていますので、初心者ならずとも国内ではもっとも取引のしやすい通貨ペアということが言えます。