為替市場といいますと、東京、ロンドン、ニューヨークといった三大市場が有名な存在となりますが、世界的にはそれ以外にも他の市場が開いています。
その中でも1日でもっとも早くオープンするのが「オセアニア市場」です。
相場としての規模は大きくはありませんが、一週間の中でも最も早くオープンする市場ということで、他の市場には見られないような動きがでることもあります。
特に東京市場の前の時間帯となることから、注目をしておきたい市場です。
オセアニア市場とは
オセアニア市場はニュージーランドのウエリントンと、オーストラリアのシドニーの二つの市場で構成されています。
ウエリントン市場は南半球の夏時間では朝3時から開くことになりますが、日本の夏にあたる冬時間では1時間遅い午前4時からのスタートということになります。
そして、シドニー市場は午前7時半からのスタートでそれを追いかけることになります。ウエリントンは日付変更線からもっとも近いとこにある市場であり、名実ともに一日の始まりとなる相場となります。
通常平日は、ニューヨーク市場がクローズする前にオープンしていますので、シームレスな取引が継続するため大きな変化が起きるわけではないのですが、週の初めの月曜日だけは、この市場から変化が起きることもあるため注目される市場となっているのです。
窓開けが起きる特異市場
土日に地政学的リスクが発生した場合や、選挙など政治的な要因、さらに要人の発言などの影響がでるのが、ウエリントンをはじめとするオセアニア市場です。
いわゆる「窓開け」という現象ですが、前週金曜日の終値と大きく乖離して、上昇・下落するケースが起こりえます。
こうした相場の動きがでた時に、大きな影響を受けるのが、日本の個人投資家ということになります。
個人投資家はFX業者との相対契約により、業者が提供する取引時間帯でしか売買をすることができません。したがって、自身が使用しているFX業者の開始時間に左右されることになります。
業者によって、月曜日のオープン時間は様々で、4時から開いているところもあれば、7時まで開始されない業者もあります。
この時間外が遅ければ、遅いほど窓開けのリスクは高まることになります。もちろん、それが良い結果に繋がることもありますし、全てが損失と直結するわけではありませんが、日本の投資家にとっては月曜日のオセアニア時間というのは非常に気になる時間帯といえます。
資源国通貨の特殊性
鉱物資源や農産物などの市況商品を多く産出し、そうした商品を主な輸出品としている国の通貨を、「資源国通貨」と呼びます。
豪ドルとニュージーランドドルはその中でも主要な通貨として注目されています。
豪ドルの場合には鉄鉱石、石炭、石油、金、ボーキサイト、ウラン、農産物などがその対象となっており、ニュージーランドドルの場合には農産物や畜産物、乳製品がその対象となっています。
こうした「資源国通貨」は原油価格や金価格など商品市場に大きな影響を受ける上、輸入国の景気に大きく左右されることになります。
直近では最大需要国である中国の景気動向に大きな影響を受け続けている状況にあります。さらにインフレになったときでも買われ続けるといった、他の通貨にはない特徴を多く持っています。
したがってこうした資源国通貨の動きがオセアニア市場に影響を与えていくこととなるのです。
また、中国の経済指標は土日の不思議な時間帯に発表されることも多く、その結果を受けた相場の動きがオセアニア市場に反映することもあります。
最近では商品相場が落ち着いた動きをしているうえ、金の価格が下落していることから、大きな影響は出ていませんが、2007年のサブプライムローン問題の時期やリーマンショック直後には安全資産としての金やプラチナなどの相場が高騰し、資源国通貨も大きくクローズアップされることになりました。
指標の発表は東京タイム中心
オセアニア通貨の経済指標の発表は、ニュージーランド中央銀行の政策金利の発表が日本時間の午前6時という早朝であること以外は、概ね日本時間の午前10時から11時までの間に発表されます。
オーストラリア中央銀行の政策金利発表は、午後の1時半前後に発表されていますので、東京時間とオーバーラップする時間帯が殆どでオセアニア市場としての独自性が経済指標で発揮されることは、極めて少なくなっています。