消費とひとくちにいいますが、各国にとって国民による個人消費というのは国力にダイレクトに結びつくきわめて大切なものになりつつあるという理解ができます。
特に先進主要国の場合には個人消費が「GDP」の中でもきわめて大きな割合を占めるようになってきており、消費を増大させることは内需を拡大させる意味でも非常に重要なファクターとなってきているのです。
米国はGDPの7割、日本は6割が個人消費で支えられている社会
たとえば主要国の中心に位置する米国ですが、既に「個人消費は国のGDPの7割」を越えています。
もちろん所得格差も大きくなっているためお金持ちが大きく消費することでこうした数字が示現しているともいえますが、国民を総じて消費意欲が強いことは経済をしっかりと下支えすることにつながり株高にも一脈通じることとなるため、非常に重要なものといえるのです。
したがって米国では個人消費の行方は非常に注目される指標となっているのです。
日本でもすでに「GDPの6割以上が個人消費」ですから、個人消費を維持拡大することは非常に重要なものとなっていることがわかります。
中央銀行の政策金利の設定が個人消費に大きく影響を与える
「中央銀行」が実施する「政策金利」の設定は個人消費にきわめて大きな影響を与えることになります。たとえば景気が悪化して歯止めがかからないときには思い切って利下げを行うことにより「中央銀行」は消費の底上げをはかることになります。
金利が下がれば実行金利も下落しますので各種ローンの利率も引き下げられ、ローンを組んで車や家を購入しやすい状況を作り出すことになるのです。
これが活発な消費を促すことになり経済は上昇に転じる可能性が高まるのです。また逆に景気が過熱している場合には金利を上げることにより、その過熱感を抑制する行動に出ます。
「政策金利」が引き上げられればローンの実効金利も高くなりますから借金をしにくくなり、車や家の購入を抑制することになるのです。
現在はどこの先進国も景気がよくて困るとういことにはなっていませんので、金利は各国ともに下落基調ですが、米国は次なる「金融政策」のためにできるだけ景気がいいうちに利上げをしておきたいと考えており、景気の状況を見ながら利上げを模索する状況にあります。
しかし大きく株価が下がり消費が落ち込むような事態になれば、当然利上げは先送りし逆に利下げを断行するようになるのです。
本来「中央銀行」は国民の消費の状況をにらみながら金利を調整する役目を果たしているのですが、現状ではほとんどの先進国が低金利の政策をとっており「中央銀行主体」のバブルを形成しているともいえる状況なのです。
健全な消費が伸びることは国にとっても大きなプラス
不動産価格だけが「投機的」に値上がりしてしまうといった異常事態に陥らない限りは、国民の消費の拡大は海外に依存しない内需の拡大による経済成長を促すことになるため、どの国でも歓迎する状況となります。
しかし最近では多くの先進国が成熟した消費社会を迎えており「金融政策」だけでは消費の拡大がままならない状況が続いているのが現状です。
しかも「デフレ気味」の経済になりますとあらゆるものの価格が下落することから消費の拡大はままならず、苦しい政策運営を余儀なくされることになるのです。
これまでの伝統的な経済「金融政策」ではもはや成熟した先進国の経済は簡単には活性化しないところに、各国の金融当局は頭を悩ませているともいえる状況なのです。
各国様々な経済指標で個人消費の動向を確認
消費に関する経済指標は各国ともに様々なものがありますが、米国では「新築の住宅着工件数」や「中古住宅販売件数」「自動車販売台数」などが、大きな消費の動きを確認する上で重要な指標として機能するようになっています。
また米・四半期個人消費は「GDP」に付随して発表される統計であり、各月21-30日(四半期ベース)(速報値:1・4・7・10月)に発表される結果が大きく注目されています。
欧州でもユーロ圏「消費者物価指数」の発表が注目されますが、加盟国によって様々に状況が異なるため、なかなか有効に利用できる指標にはなっていないのが現状です。
ただ、ドイツやフランスなどの主要国の消費者物価指数のほうが重視されるケースもあるようです。
日本では、日銀が「消費活動指数」というものを開発し、より個人消費の動きを正確に捉えようとする動きにでています。
この指標では、スーパー販売など供給側の統計のみを使い、自動車や家電など42品目のモノやサービスを調べることで、調査世帯が偏り消費の実勢を映していないとの批判がある総務省の家計調査に代わる指標として利用を開始しています。
このように国民の消費は国を支える重要なエレメントであり、これを維持、増加できない先進国にはもはや成長がないといえるほど大切なものになりつつあることがわかります。それだけに為替市場への影響も大きく「政策金利」の動向にもつながる最重要指標になりつつあるのです。