移動平均線というのはチャートを利用するトレーダーにとっては基本中の基本で、多くの人が必ずこの平均線をなんらかの形で利用していることと考えられます。
この移動平均線は相場が上げ止まる時や下げ止まるときに抵抗ラインとして利用可能となっているのはご存知の方も多いと思います。この移動平均線ならではの動き方をしようして相場の転換予測に利用しようというのが移動平均乖離率なるものなのです。
移動平均乖離率とは
移動平均乖離率は、一言でいいますとその名前のとおり相場状況が移動平均線からどれだけ離れているかを見るための指標ということができます。
ボリンジャーバンドも移動平均からみての離れすぎの度合いを標準偏差で表し、それにバンドをつけて示していますが、この移動平均乖離率は単純に、相場は上がり過ぎれば下がり、逆に下がりすぎれば上がることを前提にして相場が移動平均線から大きく離れた場合の上げどまりや下げ止まりの転換タイミングを見つけるために利用するのが基本となっているのです。
相場が移動平均線からどれだけ上や下に離れているかをチェックすることにより、相場の買われすぎや売られすぎを判断していこうとするのがこのチャートの基本発想となります。
移動平均乖離率の使い方について
実際の使い方としては、短期の相場の方向性を見る場合には日足チャートを利用します。またもう少し長い目でみた時の上昇、下降トレンドを見る場合には当然のことながら週足チャートを利用することになります。
具体的にチャートを見て、相場の価格と移動平均との差が5%以上、上に離れた場合には相場は一旦天井をつけて下落することがわかります。上のグラフでは0.06つまり6%を超えたところでチャートは下落に転じています。このグラフでは相場の動きがわかりませんが、通常このタイミングで相場も下落に転じることが多くなります。
逆に相場と移動平均が5%以上下離れした場合には相場は一旦底打ちをして上昇し、戻してくることが予想されます。この相場からの移動平均乖離率はここでは5%程度と見ていますが、実は通貨ペアごとにかなり異なるものとなります。
ボラティリティが日常的に高い銘柄では10%程度が適切な値となるケースもあるのです。したがって利用する通貨ペアでどのぐらいの乖離率が発生しているのかを過去のデータからあらかじめ調べておくことがお勧めとなります。
計算日数をどう設定するかが腕の見せ所
実は、こうした移動平均乖離率ようのなチャートを利用する場合には、何日の計算期間で分析するかによってかなり結果が異なることになります。
たとえば2014年でいいますと5月から7月の初旬ぐらいまでのドル円というのは史上最悪といわれるほどボラティリティがなく全く動かない時間をかなり長く過ごして来ています。
日によっては上下の動きが本当の50PIPSあるかないかの動きとなっていましたので、このような期間の25日を使っても、実は殆ど効果がないということにも繋がるのです。
どれだけ動いてもかなり誇張して動いた数字が出てしまうため、日常的な数字を予め掴んでおくことがとても重要になります。
最近では自動的に最適化された日数を使えるものも登場しているようですが、ある程度使いなれて経験に基づく数字の設定を行えるようになることが指標をうまく使いこなしていく意味でも大きなポイントとなってくるのです。
実際に利用する通貨ペアによってもかなり乖離率は異なることがわかっています。しがって大きく価格が変動した時にどの位の乖離率を示現したのかをまず確認してみることがとても重要になります。
通貨ペア独自の乖離率の上限や下限を掴むことができれば、より正確に売られすぎや買われすぎを判断することが可能になるのです。