ウィリアム・ギャンとはどんな人物か?
ウィリアム・ギャン(William Delbert Gann)は19世紀後半から20世紀半ばにアメリカで活躍した投資家として知られている人物です。「ギャンの価値ある28のルール」が有名です。(記事の下部参照)
ギャンはローソク足とほぼ同様の独自の分析手法を数々編み出し、それを厳正なルールの下で用いることで生涯の勝率が8割を超えるとまで言われていました。
独自の手法を用いてかなりの高い勝率を誇っていることから、現在でも「ギャン理論」への強い崇拝を抱いている投資家が多いのです。
ギャンが生み出したギャン・アングル
「ギャン・アングル」はたとえ相場がどんなに変動しようとも、ある一定のラインに収束するという自然科学の法則に従った理論で、その振動を分析することで重要な支持線と抵抗線が導かれるというものです。
重要な値動きのうち、高値と安値を取り出し、両者間の幅を割り出して、それを下記のように8分割して直線を引きます。これをファン(扇の線)ということもあります。
出典:ウィキペディア
また、上の図は連続するチャートの中から円安局面にあるチャートの一部分を切り取ったものです。
左下は「最安値」、右上が「最高値」になります。この最安値と最高値を結んだ直線を「支持線」といい、値動きはこの直線に収束するというものです。
価格が45度線からずれて22.5度線、11.25度線(これらを抵抗線という)まで振れるとなると急激な変動が生じたと判断することができ、抵抗線を超えると売買のタイミングと判断できるというものです。
概ね一定の期間の振幅を持つチャートを見て感覚的に45度と感じる起点終点を見つけ、それを基準にしてそれ以外の振幅の起点終点にファンをあわせるという方法がかんたんですが、起点終点の取り方は抽象的であるが故に、解釈が複数存在する事も当然有り得ます。
引き方の解釈については、つい見た目ですっきりするものもあれば、相場解釈上、都合の良いラインをフィーリングで引く場合もあり、解釈が様々な部分もあります。
そもそも「ギャン」自身がそのことについて著したものが存在しないのだそうです。
移動平均線などと異なりアングル線は、起点、終点と傾斜で表現するために、アングル系ではどのラインが相場に合致しているかを見極められる主観的な要素が大きくなり、その分、引手の経験や才能が求められる場合があります。もう少し具体的に運用した場合にはこんな感じです。
出典:https://www.fxtsys.com/tech31.html
ギャンの価値ある28のルール
下記の「28項目」は「ギャン」が投資の成功や失敗を踏まえて簡潔にまとめたものとされています。
1.資金の1/10以上の損失が出るような掛け方はしない。
2.トップロス・オーダーを置け。
3.過剰な売買をしない。資金配分を守る。
4.トレーリングして利幅を増やす。
5.トレンドに逆らわない。
6.迷ったらトレードしない。
7.アクティブなマーケットでのみ取引する。揉み合いには手を出すな。
8.1つの銘柄に全力投入なんてしない。2~3銘柄でリスクを分散する。
9.指値注文はせず、成行のみで取引すること。
10.充分な理由がないのに手仕舞わない。
11.トレードで儲けた黒字分は別に分けて管理すること。
12.スキャルピングはしない。
13.ナンピンはしない。
14.耐えよ。焦るな。
15.小さな利益と大きな損失を避けよ。
16.ストップロス注文を置き、これをキャンセルしない。
17.頻繁な売買は避ける。
18.売りも有効に使え。
19.値頃感で取引しない。
20.ピラミッディングはレジスタンスやサポートをブレークしてからすること
21.トレンドが明確な時だけピラミッディングする。
22.ヘッジの両建てはするな。
23.十分な理由がなければポジションを決済してはいけない。
24.儲けた後は、取引量を減らす。
25.相場の天井/底を推測しない。
26.他人の意見には従うな。自分で研究せよ。
27.損失が出た後は取引量を減らせ。
28.間違ったポジションメイク・間違った決済をしない。