先週までの展開というのは上値が重いとは感じますが、こんなものであろうと思います。その間にいろいろなことがありましたが、その事に関して解説していきたいと思います。
私は当然あると思っていますし、フォワードガイダンスによって3月に「金融政策」を変更すると言っているのですからやって当たり前と思っています。
その理由というのは、こういうことがあり、こういう数字が出た場合には政策を変更するというのが目的なのですから「消費者物価指数」がマイナスになった時点で変更が確定的と考えるべきです。
ですから、「デフレ」が進行している事実を突き付けられて対処をすべきだと思います。
株価・不動産・ゴールドの上昇
その政策の結果は、要するに通貨が供給過剰になるのですから「通貨の値段が下がる」と考えていいのです。反対に通貨の価値が下がるのですから、株価や不動産、ゴールドが上昇するのです。
もっといえば原油などは通貨に変わる資産と考えれば「原油価格」も上昇するはずです。たとえばゴールドが、戻り新値を更新しているのはユーロの通貨緩和期待になります。
今は寧ろ、原油に注目が高いのですが、ユーロの場合はゴールドよりも原油の方が通貨対商品の場合は関連性が高いのです。ゴールドの場合は日本の方が関連性は高いのです。
これは、おそらくトレーディングのプレーヤーの関係でアジアの需要が多く、そして取引量が多いのはゴールドでは日本の商社になります。それが、NY市場とのアービトラージを行っているからです。
原油は北海油田のあるイギリス、そして世界一豊かといわれるノルウェーなどは原油の産油国になるから取引量が多いのです。また、金融デリバティブにおいては「ドイツ銀行」関連のファンドは原油デリバティブの取引量が多いことは昔から知られています。
そういった意味で今回の「ドイツ銀行」の危機というのはある意味当然になります。
話が逸れましたが、お金のバラマキを行った場合日本では通貨の供給追加という緩和の場合、それがイコール「通貨安」と勘違いをされている方が非常に多いのですが、それは間違いになります。
ユーロは大規模な緩和はできない
日本のバラマキによって円安になったのは、結局「日本が世界最大規模の緩和をやったから大幅な円安になった」のです。
ユーロの場合は三極圏の通貨になりますが、その三極と比較してユーロの通貨価値が決定する、つまりこの場合は円とドルとの「金融緩和」の規模を比較することによって決定するのです。
現状は「円>ドル>ユーロ」になるのですから、ユーロがお金のバラマキを拡大させたところで、ユーロは理屈としては安くならないということをよく覚えておくことです。
何度も繰り返しますがユーロが緩和、お金のばらまきを実行してもその緩和の規模をみないと安くなるか否かの判断はできないということになります。
これは個人的意見になりますが、ユーロの場合は各国の集合的な「中央銀行」になりますので、それほど大規模な緩和は出来ないと考えています。
お金のばらまきであれば、上記に書いたように各国の政府はどこも自分の国の債券を買ってほしいという利害関係が「中央銀行」とのコミュニケーションの悪化につながりますので、「ECB」の楽な道としては「マイナス金利」を選択するというのが個人的な意見になります。
「マイナス金利」であれば各国の利害は関係なく一律にその金利を各国の経済条件の格差も関係なく適用できますので、加盟国からの反発等は少なくなりますから、こちらを選択する可能性が非常に高いと思います。
マイナス金利ではなくネガティブ金利
金利がないに等しいことになることは、誰もが考えてわかることになると思います。しかし、この「マイナス金利」を導入したことによって物価が下がるようなマイナス金利若しくは、ネガティブ金利は拡大させないというのは誰もが理解できると思います。
参考までに、欧米では日本の「マイナス金利」という言葉は使わずに「良い事がない」という意味で「ネガティブ金利」といいます。つまり、マイナス金利を導入することによっていいことはあまり起きないという認識なのです。
しかし、現実にはお金のばらまき政策の効果かわかりませんが、ユーロは他の通貨に対して強くなっていることが現実であり、それによってアメリカほどではないにしろ日本よりはましな成長率になっているから今回は「マイナス金利」の拡大を選択する可能性が高いのです。
なぜなら、お金のばらまきの効果であれば、もっとユーロは安くなっているのが原理原則なのですから、逆に高くなっていることから勘案すると「マイナス金利」とばらまきでは、マイナス金利の効果の方が高いと考えるのが妥当です。
マイナス金利の拡大はインフレの加速に繋がる
通常の考えでは「マイナス金利」は貯蓄や債券を保有していても意味がありませんので、個人レベルでは消費が多くなり、企業レベルでは設備投資が増えるということになります。
これによって「ECB」は「消費者物価指数」を筆頭とした物価指数を引き上げたいという思惑があるでしょう。経済学の教科書にはどこにでも書かれていると思いますが、「インフレ」では通貨安になり、「デフレ」では通貨高になると記されていると思います。
つまり物価が上昇すれば、通貨が安くなるのは経済学をあまりやっていない人でもゆっくり時間をかければ理解できることなのですが、私もこの理解には数年かかっていますので焦る必要はありません。
逆の場合も同じです。つまり「マイナス金利」を導入すると消費や設備投資が活発になり物価が上昇します。ですからその場合はマイナス金利を拡大させた場合は更なる「インフレ」が加速をされ、通貨安も拡大するということが当たり前の考え方になると思います。
しかし、今回はマイナス金利の拡大の導入であって、初めてマイナス金利が導入されたケースではありません。
つまり、上記の説明通り、マイナス金利を導入したことによってユーロ圏内は逆にユーロ高になったのですから、この場合はユーロ高が促進される効果の方が大きいと考えるのが妥当だと思います。
ユーロ危機は予め予見されていた
世間では、ユーロ危機の再来といわれていますが、その危機の根幹というのは「ドイツ銀行」を筆頭とする金融危機になると思います。
しかし、私が再三再四申し上げるようにこの金融危機というのは日本の金融危機のように予見されなかったものではなく、はっきりとこの「欧州の銀行はどこもあまりよくない状況である」ことは誰もが認識していて、その混乱はまだ続くと思っているのは何も今年から始まったことではないと思います。
つまり、「予見される危機に対しては大きな下げはない」と見たほうが個人的には合理的な判断になると思います。一番いいたいのは、今、世界で一番割安で安全な通貨はユーロというのは去年から全く変わっていません。
皆が弱気の時こそチャンス
もう今年で東日本震災から5年だそうですが、私も被災者の一人になりますが、あの時はこれからどうなるのだろうと誰もが不安だったのが、たったの5年であのときよりも遥かに希望が持てるのです。
「リーマンショック」の時もそうですが、大体、景気というのは訳のわからないうちに回復しているものです。つまり、「皆が弱気の時に相場は買わないと儲からない」ということを、きちんと歴史から学ばないといけないのです。
目先のおカネのために投資をやっている方には何を言っても無駄でしょうが。ユーロの説明はこれで終わりなりますが、復習のことばかりです。
次回はドルと円の考え方について考えていきたいと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)