きのうは20:45の政策金利発表でユーロが一気に売られ、そして会見で金融引き締めを発表しました。それは即ち「ばらまくお金の量を減らす」という、テーパリングで来年1月からそのばらまくお金を半減させて、そのばらまきを9月まで延長をするということになります。
要するに、ばらまくお金が減ることになりますので、現在、世界中を徘徊しているリスクマネーが減るということになります。そこで景気がよかったら、アメリカのように株価は上伸しますが、景気が低迷した場合は急落を起こすということになります。
ユーロ景気は本当にいいのか
スペインのカルターニャ地方に代表されるように、ユーロ離脱の動きは各地で止まらない様相です。スペインはなぜ、あんなに大きな問題になり、そして、その動きを鎮火できないかはその理由は以前にお話しをした通りになります。
やはり、ユーロは多民族国家なので、今後もこのような問題は出てくることでしょう。このユーロの景気のよさというのは、経済指標などで、説明をするのではなく、やはり移民の問題になると考えやすいものです。中東などからの移民で治安が悪化し、テロが頻発をしています。
彼らは当面、語学などの問題から労働の戦力にはなりませんが、数年後は確実になることでしょう。つまり、少子高齢化で悩むユーロ圏には、移民が流入してくることによって、人口増になりますから、現在のアメリカのように、誰が為政者になっても経済成長は起こるというのはおわかりになると思います。
つまり為政者が間抜けなことをしなければ勝手に成長はすると思います。しかし、そのタイミングに中銀は悩むだけです。下手な時期に、テーパリングや利上げをおこなえば、経済が失速をします。ユーロの一番の問題は先のPIIGS問題から引っ張っているギリシャなどの債務問題です。
この中でドイツが一番、債務が多いことが問題なのですが、ドイツ経済が好調なことによってその財政は黒字化し、ギリシャ向け債務の圧縮に成功していることが、その鍵になっています。
ただ、ドイツの国営銀行の株価、ドイツ銀行の株価は低迷したまま、というところも不安要素になります。テーパリングを下手な時期に行えば、株価は失速をするし、今、やらなければそのテーパリングが行えない可能性もあります。タイミングとしては今しかないのです。
もちろん、このテーパリング発表によって、テーパリングができるほど景気がいいのだろうからユーロは買いであろう、と思う方が過半だと思いますが、リスクマネーが減るのだから株価は当然軟調になります。
しかし、この5月からユーロは急騰をしていたのですから、当然、輸出不振に伴う経済減速がきます。そして物価は下がるのですから、GDPは低下傾向になります。
つまりテーパリングを行うタイミングとして、5月からその半年後には経済の低迷がくるということを考えるとテーパリンクによってユーロ安が到来することは、慈雨になるのです。
その発表を10月にするというのはベストのタイミングになります。ですから、きのうの急落は景気の悪化を先取りしたものであり、そして、その通貨安によってまた半年後には景気がよくなるということになります。つまり、来年の4月以降という話になります。
ヨーロッパ株が急伸したのは、言うまでもなくユーロ安ですから株は買いになり、株を買うから債券は下落、金利は上昇になっただけの話です。ヨーロッパの問題というのは、南欧債務危機からの借金の問題、そして少子高齢化になるのですが、現時点ではまだまだ解決の道は遠いのです。
しかし、将来はおそらく、解決する方向になっていますけど、日本のバブルの後始末が1992年に発生して2010年代にようやくその債務を銀行が支払い終えたことを考えると、まだまだ長い道のりと考えます。
世界中が景気良好に見えるが
「忘れたころの北朝鮮」を覚えておかなくてはいけません。トランプはアジア歴訪に意欲満々で、この訪問が歴史的な転換になるだろうと自ら発言をしています。
これは、北朝鮮問題を解決するといっているのに等しいことで、その背景はレーガンの東西冷戦終結をする、のを想起させているのは間違いがありません。
つまりレーガンが大嫌いだった共産圏をつぶし、そしてアメリカの中でも理想の大統領になったことをトランプが真似たいだけの話です。カーターが北朝鮮を訪問をしたいと言っているのですが、なぜバカげたこと、と一蹴するのかといえば、レーガンの政敵はカーターだっただけの話です。
そこまで、レーガンにほれ込んでいるのに、民主党を応援したり、共和党に戻ったりと意味不明なことをするトランプです。その辺はが分かりづらいのですが、レーガン愛は止まらないような感じです。
では、具体的な解決方法はなにか、といえば、もともと北朝鮮の反発理由は、停戦協定では朝鮮半島に外国軍隊を入れないというのが停戦協定だったのですが、アメリカが破棄して韓国に駐留米軍をおいたことが北朝鮮の反発理由です。
だから、朝鮮動乱の休戦協定を順守すれば、北朝鮮も歩み寄ることでしょう。しかし、さまざまな理由から、それがアメリカはできないといわれていますが、その駐留米軍を引くか、戦争に突入するかの二択しかありません。
トランプはおそらく、本気で北朝鮮に対して怒っていますので、ま、通常は戦争の選択しかありませんが、前者の選択も歴史的な転換というとその選択も捨てきれないということです。
本日のドル円
本日の基準値は「113.2円」くらいです。午後にはこの数字は変わりますが、現時点では高値は114.3程度というのがわかると思います。下値は一切、1パーセントを試しておらず、このリスクマネーの活躍にはほとほと困ったものです。
本日のGDPでどうなるかよくわかりませんが、ドル円自体は煮詰まっていて、いつ下放れをしてもおかしくありません。ただ、アメリカのGDPは減速になるでしょうから、直後はどうなるかわかりませんが、ドル安でしょう。
そうなるとユーロの売り場も到来する可能性もあり、ドル円など円安の吹き値もあるかもしれません。現在、日経もこのまま引ければ、新値17手になり、月末から3営業日前です。
(この記事を書いた人:角野 實)