毎朝、テレビ東京のモーニングサテライトをみていると非常に楽しいものです。
6連続営業日下げのときのコメンテイター陣は、あるものは顔つきがさえなく、青白く、またあるものは、ここから絶対に上がると強弁を張り、尾川真樹に至ってはいつものように大門未知子ばりの「円安です」という決め台詞がない。
彼女が円安と言わないというのであれば、円安であろうな、とそろそろ警戒をしなければいけない、と思っていたら案の定、戻り始めると、こいつは本当に専門家なのか、と思うくらいの、そこら辺の素人よりも質が悪い。
2-3日前に一生懸命に勉強したことを、薄っぺらく話しているのがバレバレで、言葉の奥には二重、三重の意味が普通は専門家にはあるのに、あの「ばばぁ」には、ないだけです。
普通はきちんと研究し、熟知している人というのは、この言葉の裏には、何かあると思う節があるのだが、何も感じられなく、最近知ったことをただ、原稿を読んでいるだけ。
それなら、隣の若いお姉ちゃんたちが読んだほうがまし、ということになります。ああいうのを日経新聞の主要なFX論客にするという神経が日経新聞のレベルだということです。ともかく、曲がっているときのモーサテほど面白いものはない。
今朝のドル円の解説
今朝の日経は、二営業日連続の戻りで、300円近く高いのです。通常、株式は1パーセントを超える値動きですと大商いなのですが、それを二営業日連続で続けているということは、戻りすぎと判断をしているということになります。
ゆえに、株を買って、ドル円を過剰にヘッジするので、株価が上昇をしても円高に行きやすいことになります。ですから、今後「日中、株価が上昇すればするほどヘッジの円売りが増加する」のです。
どこまで戻るのかはよくわかりませんが、先日の高値近辺での酒田で言う、五寸釘は決定的な天井線ですので、あの線をみてテクニカル的に押し目買い、というのはテクニカルがわかっていない人たちです。そういう、パッチもんのテクニカルアナリストに騙されないようにしましょう。
大体において、チャート分析派というのは、絶対にチャートに私情を入れてはいけないのに、なぜ、そこに押し目買いという感情を入れるのか不思議なものです。
日本の経済、株価、FXというのはだいたい3つの部門から成り立っており、まず、企業面では、設備投資をしないので、将来の減益はほぼ確実になります。
今季、儲かったお金をどこに回すかといえば、ほぼ、判で押したように、自社株買いになるでしょう。そこで、私たちが何度も経験をした「株価は高いけど、景気が悪い」ということになるでしょう。
消費者サイドからみれば、また財務省の役人が高所得者の増税を検討していますので、また消費が冷え込みます。GDPの落ち込みというのは消費者のマインドが冷え込んだから、1パーセントも下落したのに、また、増税ですか、ということです。
政府は補正予算を組むとか言っていますが、その予算を借金返済に回せよ、としか思いません。増税はきっちりするけど、予算の削減にはほとんど無頓着なので、バカバカしいも通り越して、あきれるのみです。そのうえ、貿易面では、アメリカも好調のピークを迎え、そして、中国も減速傾向です。
日経平均はアメリカPMIと中国PMIを足したものの動向に忠実に動きますので、これをみると、日経平均が少なくても、今後も上がるなんて、口が裂けても言えないはずであって、横ばいか下向きというのが妥当な判断になると思います。
FX、ドル円においては上記の通り株買いに対して大幅に円売りヘッジをしていますので、株価が下がれば、そのヘッジを外す、つまり株価が下がれば通常は円高ですが、株価が下がると円安になることもあることに注意をしたいものです。
アメリカ指標
鉱工業生産は好調ですが、稼働率も高値更新をしています。しかし、稼働率の過去の推移からみると高い水準なのですが、リーマン前の水準にはなかなか稼働率が戻らないのです。
しかも、今、アメリカの産業を引っ張るハイテクの稼働率が極端に悪く、今、よく取りざたされるFANG相場の下押しなどが予想されます。ダウやナスダック、S&Pに占めるFANGの占有率というのは、4パーセントほどになりますので、この占有率をみると下げざるを得ない状況になってきます。
そしてハイテク以外が好調ということは、アメリカの既存の工業、農業、資源などが好調ということになりますが、その競合国は南米や中国、新興国になります。
つまり、かれらの資本を吸い取ることになりますので、先進国以外も期待ができない、ということになります。そうなると、特に工業品などは価格競争の時代になり、ますます、工業品の安売り競争が激化する形になり、その結果、また物価が低下をする、の繰り返しになります。
日本の家電メーカー、東芝を筆頭とする、が全滅なのは当たり前の話です。家電や車というのはGDPに占める割合というのが非常に大きく、日本のGDPというのは先月の日産やスバル、神戸製鋼などの不祥事の数字を含めていない数字です。
では、日本の増益要因は何か、企業業績の高値更新はあまり期待できない、補正予算は来年度執行するけど、その分、借金が増える、頼みは円安、原油高のみです。
サウジの内紛というのは原油価格が下がったら、もうどうしようもない、ということの証左であって、アラブの春が原油安のときに起こったのと同じ構造です。
このところの中東情勢の不安定というのは結局、将来の原油安を見越したものです。本当に1バレル30-40ドルに入れば、中東で戦争が起こることでしょう。
ベネゼエラの国債格下げも同じ構図です。そうなると自国で石油や天然ガスが掘削できるアメリカの一人勝ち、そして新たな油田がみつかったイギリスも勝ち組、北欧も主要な生産国です。原油や天然ガスを安いコストで調達できる国は強いのです。
ロシアの原油は高すぎるのでこの範疇には入りません。こうやって考えていくと、資源国であり、有望な産業、ハイテクをもつアメリカの一人勝ちになるのは目に見えています。つまり、年末から来年にかけてハイテク株が値下がりしたところをFANG中心に買いあさるのが有効な戦略になるでしょう。
FXではドル安、人民元安になるので相対的に円高になりでしょう。円高になると韓国ウォン安なので、また朝鮮がガタガタ、身勝手な文句を言い始める。今の韓国など、理不尽な要求しかしていないように見えるのは、誰の目にも明らかで、中東と同じような状況です。
ロシアが鷹揚なのは、アメリカが多少、景気のピークを迎えたので、ここでがんばらなきゃ!と思っているプーチンはきちんと見えているとしか思えません。ファンダメンタルズで、きちんと知識を持てばこのくらいのことが見通せることになるでしょう。
(この記事を書いた人:角野 實)