きのうは、戻るかもしれないけど、大きな流れはまだ円高です、と書いた通りです。ですから、本日のアメリカの株の戻りは想定の範囲内なのですが、センチメントは楽観のままという感じです。
この状況で、なぜ、楽観なのか私には理解できません。もちろん、論拠をもって楽観視している方もいらっしゃると思います。今回は、なぜ、2018年の為替予想に関して4月は急落するというグラフを出しましたが、その点を考えていきたいと思います。
4月はどういう月なのか?を考える
いうまでもなく、新年度の始まりです。報道では毎年、毎年、何かが値上げになっていますけど、新年度を契機に値下げする税金や価格があってもいいじゃないか、とは思いますね。
個人的には。でも、報道は値上げに関しては消費者の関心が高いので、物価に関しての報道が多いと思います。しかし、国家の予算は新年度から施行されるのです。
つまり、今年度の場合は4/1が日曜日になりますので、お役人がお休みになります。予算を執行するのはお役人ですから、実質は2日から執行されることになります。
話が逸れますが2日新甫は荒れるという相場格言を思い出した方は記憶力がいいですね。予算の話に戻りますが、日本の予算は、毎年成長を続けています。
それが私、個人からみれば最悪なのですが、日本の予算は経済成長よりも予算額が伸びているのです。たとえば、日本のGDP成長が1パーセントで国家予算を100兆円とすれば、毎年、1兆円しか予算額を増やすことができないのです。
なぜなら、経済成長をしたらその分、税収が増えるのは当然なのですが、その1パーセント以上の成長以上に予算を組んだら、日本の財政赤字は余計に増えるというのはおわかりになると思います。
1パーセントしか成長していないのに、2パーセント増額の予算を組んだら、財政赤字は増えるのに決まっています。日本は毎年、経済成長以上に予算を組んでいて、それをダダ流しにしています。いくら安倍が経済政策で成功しているといっても、要するに日本を借金まみれにして先送りにしているだけの話です。
だから2019年の消費増税は実施しないと日本の国家予算が破綻するとまた格付け会社が風説を流しますのでマストになるのです。風説ではなく事実ですけどね。そのことを野党は全く指摘できず、かつてのお仲間の亀井さん当たりが吠えているのみなのです。
いかに野党がくだらない議論ばかりしているか、よくわかると思います。では、日経を外国人が4月から17年連続で買い越しているのか、といえば、非常に簡単です。
要するに経済成長以上の予算を組んでいるのですから、予算が日本の景気に与える影響というのは甚大になるのです。つまり、黙って買っておけば、株価は自然と上昇する、と考えているだけの話です。
外国人にとって、日本株が上がろうと下がろうと、関係ないですし、自分たちが儲かればいいだけです。自分たちが日本に住むことを前提にしたら、安倍に対して、ふざけんな、とだれでもいうと思いますが、住まないのですからどうなろうと知ったこっちゃない、ということです。
そこで世界景気が全体で低下をすると、予算の出動がこれ以上見込めない、日本を真っ先に売るのです。ほかの国は、日本と比べればまだ財政拡大によって景気を浮揚させる国際的な統計基準からみればその余地があります。
日本は、これ以上、予算の拡大を許さないような状況になっていますので、やるでしょうが、規模は知れているということで、上がる見込みがないから真っ先に売られるのです。為替、FXではドル円が割安すぎるから、真っ先に売られる、ということです。
これがリスク回避の真相だと思いますが、政府に右に倣えのテレビ、新聞はこんなこと、事実でも絶対に言わない、書かないでしょう。
そこで4月は、どこの国よりも予算効果の高い、日本株を買うだけだと思います。安倍も確信犯で、予算を拡大しないと外国人が買ってくれないとわかっているから、無謀な予算増大をするのでしょう。
野党が政権をとっても、今の彼らの頭では予算の縮小しかできませんから、任せれば悲惨なことになるのでしょう。成長と予算の配分に関して野党が語ったことなど今まで一度もありません。
だから、野党に政権が変わるよりも、有権者は自民党を選ぶのでしょう。でも、予算効果が切れると、その株を売るだけです。ですから、日経が3万円なんて夢みたいな話を、平気で言うのです。
こういう風に論理的に考えていくと、あまりに現実離れした話になります。企業のファンダメンタルズは良好だと思いますが、企業の本籍である日本のファンダメンタルズが変わらないのに、日経平均が上昇する訳がないでしょう。
去年は選挙のときに予算を使い果たしたので、予算による成長が見込めないと読んで、日経株を売りまくったのでしょう。こういう風に考えると、アメリカも事情は同じで、今は中間選挙に向けて与党有利な政策を発動し、そして、株価が高いことになります。
でも秋口に向けてはその実弾攻勢は勢いがなくなっていくということです。この理屈がわかっていれば、楽観しすぎというのはおわかりになるでしょう。
日本の4月に外国人が買うから、高いというロジックはそのことです。ただし、統一地方選挙がない年は、まったく日本株は上昇をしません。逆に下落しているケースが多いということです。そういった意味では、選挙というのはマーケットに重大な影響を与えるのです。
では、今年の場合はなぜ、下がるのか?
経済指標の発表というのは、必ず、前月比と前年同月比で発表されます。この数字が曲者であって、前月と前年同月比ということは比較対象が前月と前年同月比なのです。そのほかは考察の対象になっていないのです。
たとえば、今年の場合、中間選挙を控え、アメリカは予算を執行しまくっていますので、通常であれば冬場は経済が悪いのですが、案外、好調で経済が好調で通過してしまいました。
アメリカの場合は、12月が景気のピークです。つまり1-3月は寒いので経済が停滞するのですから、4月以降は経済指標の遅行指数などが4-5月に発表されるのです。
つまりあまり、よくない数字が。例年ですと、その、数字は悪いので実態経済と即していないのです。だから、春からマーケットは非常に買われやすいのですが、今年の場合は好調で1-3月を過ごしてしまった、ということです。
つまり春から今年の場合、アメリカは買われにくい状況になっているのです。日本の場合は、去年の秋が良すぎましたので、今年の秋はそれ以上の成長をしなければ、いけないのですから、そもそも去年以上に景気がよくなるという期待が全くないのです。
そして安倍の施策としては、今年は大きな選挙がない、つまり閣僚や国会議員はクビになる可能性が少ないから、予算は去年使い過ぎたのをやめようという行動になるのが普通です。
安倍はそうやって政権を維持しているのです。年後半から選挙と改元、消費増税のためにいっぱい政策を打つことになるでしょう。今年の自民党総裁選挙は私政党に国家予算など使うわけにはいきませんので、自民党会員を増やすことに専念するのでしょうね。
つまり、2018年は予算は拡大しているようなフリをしていますが、おそらく去年使いきっているか、もしくは来年度の選挙に向けてため込む作業になります。
そして1-3月は北半球の大半の経済大国は冬なのですから、経済は不調なのです。そうなると4月に発表される数字は毎年のように悪いのです。それと前年同月比と比較している経済指標なのですから、実態以上に悪くなっているマーケットが買われやすいだけの話です。
2月、3月の数字は悪いのが当然ですから、今後、暖かくなることを見越して買われやすいだけの話です。ただし、2018年に日本は大きなイベントがなく、アメリカはもうすでに予算の執行を初めている状態です。
アメリカなどは減税によって使い果たしているとみるのが妥当とみるべきであって、日本は使いたがらない、その上、日本は例年に比べて気温が2~3度高いということはこれから大して暖かくならない。
これで経済がよくなるとは到底思えません。何よりも実力以上に買われている日本株など外国人が積極的に買ってくるとは思えません。かなり意味不明な話になると思いますが、要するに今年の4月は日本もアメリカも期待できない、ということです。
毎年、季節替わりは景気が悪い、とくに冬から春にかけての季節は。そして、経済指標というのは先月と去年の同じ月としか比較しない、ということを考えて、そして実際の経済とそれをどう整合するのか、というのがマーケットの予想になるのです。
ここまで予想の仕方を教えたサイトや本は間違いなく、この世には存在しないと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)