FOMCは予想通りなんの政策変更もなく、無事に終了をしました。声明文をみても多少の変更があるとはいえ、特に注視するような項目はなく、あー、そうという感じでした。
きのうも触れたように、PCE価格がFRBの目標2パーセントに対して3月の数字は達成したのですから何等かの変更は来月にあるかもしれない、と記しました。
個人的にみてこの見解はどこをどうみても「まとも」だと思います。そして今朝の発表をみて思ったのは「何も変更がない」ということです。なのに、6月にサプライズ利上げがあるかもしれない?なんて、報道で流されると「えー」と思ってしまいます。
どこをどうみれば6月利上げの可能性なんてあるのか、おバカな私には全く理解ができません。もちろん、可能性として6月利上げの可能性がありますが、それはインフレの状況などを勘案した結果で、その可能性は個人的には限りなく低いと思います。
FRBの政策の中心は雇用とインフレにあります。間違わないでいただきたいのですが、日本銀行にはインフレの行方に注視する必要がありますが、労働市場に関しては日本銀行の役目と判断する法律の根拠がありません。
つまり日本銀行は労働市場に関しては無関心でもいいのですが、アベノミクスや異次元緩和というのは主に労働市場を改善するためにやった、と言っても過言ではないくらいのものです。
フィリップス曲線をご存知の方にとっては当たり前の話です。つまり世界の趨勢というのは、中央銀行が「労働市場」に介入するのがトレンドになっています。
そういう意味でFRBは労働市場には配慮をしています。そのアメリカの労働市場に関して、私は好調と書いています。ただし、その中できのう発表されたISMの鉱工業に関して労働市場の低下が観察されますので、この辺をどう解釈すればいいのか、とは考えています。
ただ、そのほかの労働市場関連の指標は順調です。そう、迷っているから週末の雇用統計に関して、私は一切触れていないのです。平均時給はいくぶん、上昇すると思っていますが、雇用人数に関してはよくわからん、というのが本音です。
ADPが予想以上になったのは私の予想通りなのですが、本番はよくわからない、というものです。ただ、平均時給が上伸すればマーケットは爆発的になるかもしれない、と思っています。
アメリカの労働市場に関しては、好調だと思います。不安要因はISM指数になります。一方でインフレ指数のFRBでの代表的指標はPCE価格になります。
上記はコアPCEになりますが、順調に価格が上昇していることはおわかりになると思います。これを対前年比で2パーセントの上昇になればFRBは達成した、と言うのです。
しかし、この表は2017/3月から描画をしていますが、2017/3から何が起こったかみなさん思い出してほしいと思います。ユーロドルが急騰した、つまりドル安に急激になったのです。
日本でも円安になれば物価が上昇することはみなさん理解できると思います。つまり去年1年間の物価の上昇というのは、ドル安を背景としたものであって、アメリカ経済が本当に強いのかは、今後、ドル高になっても経済が強くなるか、どうか、ということであって、その時点でサプライズ利上げなんてあるわけないだろーが、というのが私の主張になります。
どう考えても、サプライズ利上げなんてあるわけない、とだれでもそう思いますが、報道はサプライズ利上げとやるのです。イエレンの時もこんなことがこの4-6月期にありましたね。
何か意図があってやっているのではないか、と勘繰ってしまいます。では、個人的にアメリカ経済が強くなると予想する理由は非常に明快です。アメリカ国債が増発されているのは減税の結果です。その国債は去年まではFRBが買い取っていたのです。その主体が今度は日本と中国になっただけの話です。
要するにFRBが緩和的な姿勢に変更がない、と声明文で記すのはこのことだと思います。つまりFRBのQE停止なんて言っていますが、実態は買う主体が変わっただけの話で金融緩和は行われているのと一緒のことです。
金融緩和の株は買い、でもドルは売りになりますが、政策的にドル高にもっていこうとしているだけの話だと思います。経済理論で整合性があるかどうかはわかりませんけどね。
でも、金利は上昇する?
FRBは政策金利を6月には上げないと思います。でも、金利は上昇します。なぜなら、きのう、アメリカ財務省が国債の入札額を今期、4-6月期は70憶ドル増加すると表明しているからです。
参考までに、1-3月期は40憶ドルの増額です。要するに、1-3月よりも国債の発行を増やすと言っているのですから、市場金利は上昇するのです。
でも政策金利に変更はない、ということです。この点はまだいろいろ考えないといけないことです。ただ、今回の報道の間違いは、金融関係者や報道は政策金利が上昇すると思って対処をする。しかし、市場金利は間違いなく、需給の面からは上昇する、ということです。
市場金利と政策金利の決定的な違いというのは、市場金利はほぼ間違いなく上昇するということ、そして政策金利は、利上げする可能性がある、という違いです。間違いなく上昇するのと、上昇するかもしれない、ではマーケットに対処する方法が違います。
その辺で金融関係者が利上げの可能性でポジションを構築する場合、何を間違えるかといえば、確実に言えることは、国債をショートすることです。そのショートのポジションが利上げの可能性の場合はミニマムで積み上げると思いますが、確実に金利が上昇すると思う人は、最初から大きなポジションを積むことができるのです。
利上げの可能性とみている人は、少し下がっては利食いし、アホな人はド転買いに回ったりする。となると国債が暴落する可能性が出てくる、ということになります。
こういうことを理解して、月曜からのモーサテをご覧になるといいと思います。コメンテイターがいかに間抜けなことを言っているのかわかると思います。きょうの内容は難しいと思いますが、こういう専門家が間違える相場というのは「非常においしい」ということです。
(この記事を書いた人:角野 實)