おはようございます。7月は大きく円安になっていく予定であったのですが、行って来い、のような展開になっています。結局、日本銀行が「10年物国債の買い指値オペ」を行ったことからこういう帰結になっています。今回は、ドル円に付随することを考えていきましょう。
日本銀行の株式市場介入
為替をやっている方は知らない方も多いと思いますが、日銀は日本株式市場にETFの購入を金融緩和策の一環として株式市場に介入をしているのは有名な話です。この日本銀行のETF購入というのは、株価が前日比マイナスの場合、定期的に買ってきていることが株価の下支え要因になっていました。
ところがこの介入が、7月の第三週あたりから買ったり、買わなかったりを繰り返しています。もちろん、予算がなくなった可能性もあるのですが、概算で計算をしてもそんなことはないような気がします。間違っていたらごめんなさい。
そして先週に至っては全く買わないというような状況が続いており、これが本日発表される「日銀金融政策決定会合」で金融政策の変更があるのではないか?と、マーケットで疑心暗鬼を誘っていることになります。
日本銀行の話題など、去年は、メディアが変更する訳がないのに煽りに煽りまくり、結果、何もしなかったということになり、今年に入っては一転、何もしない、というのがコンセンサスになっています。
今回も私はなにもしない、というのが予想になりますが、メディアと、なんちゃってアナリストはする、するの大合唱。その上に、日本銀行による長期国際の買いオペが先週から頻発をしているので、今回の日本銀行の金融政策決定会合では何か変更があるのではないか、と話題になっていると思います。
もちろん、物価の点検や一連の金融緩和による副作用に関してのレポートが出るようですが、個人的な考えは、そんなもの変わんない、と思っています。
この根拠はまず、
1.日本経済はアメリカ、中国経済に引っ張られ、好調を維持するということ、
2.ドル高によって年内は円安が見込まれること、
3.原油はイラン情勢と国際的な需給ひっ迫によって価格の上昇すること
これらの理由で年内は楽観視をしていることが背景だと思います。
この3つの要因「海外経済」「円安」「原油高」というのは金融緩和をやってもやらなくても、この要因は何も変わらないということだけなのです。
ですから、私から言わせれば、安倍さんも黒田さんも、アベノミクスの成果を、胸を張ってお話しをされますが、なんの構造改革もできていないじゃん、と言われれば何も答えられないと思います。
日本が好調になる要因は、常に「海外経済」「円安」「原油高」でそのほかの要因でよくなるようなことはない、と思います。日本経済が現在も年内も、好調が見込まれるときに具体的な構造改革も行われず、自民党総裁選挙にかまけているのですから「どうしようもないね。」としか思いません。
結論はこの危機感のなさから「何も変更なし」というのが当然だと思いますけどね。個人的には。
前年同月比で考える
来年10月の消費税増税はほぼ規定路線になると思いますが、その判断をする景況観というのが非常に重要になります。
■ 日本経済の占う点でおいての3つの点
① 海外経済、特に米中
② 円安
③ 原油高 が重要になります。
この増税を決定するのがだいたい半年前になりますので、2019年4月には決定をすると思います。つまり、来年の4月に消費税増税を決定するのには、来年4月に発表される経済指標を好調にしなければいけないのです。
経済指標の比較の基本路線は、以前に何度もお話しをしましたが、「前年同月比」が非常に重要になります。こう考えていくと、今年の1-3月の指標が来年の1-3月の指標に大きく影響を与えると考えるのが妥当になります。今年の1-3月に為替市場で起こったことは「大幅な円高」になります。
つまり経済は停滞し、アメリカは景況観が冬でフラット、中国もそれほどよくない、原油は2月から下がる予定だったのが高止まりということになります。
つまり経済指標は、全部、平年と比べて悪い訳ですから「来年の1-3月の経済指標というのは自動的によくなります。」原油は今年価格を押し上げていると思いますが、今の需給がタイトな状況で冬場の需要期明けで価格が下がるとは思えません。
つまり、この今年1-3月は円高と悪天候によるGDPの低下でほぼ来年10月の消費税増税は決定的というシナリオになります。
よい数値を出したくない政府
では、政府与党が増税によって叩かれるのは来年10月以降に間違いなく消費が減退をするのですから、この10月の為替や海外経済や原油があまりにも良い数字になると、来年10月の経済指標の悪さが目立つようになります。
そうなると、政権にスキャンダルや醜聞があった場合には一気に政権が吹っ飛ぶ怖さがあるので、いまから、増税によって消費減退を抑え込む政策を一生懸命考えているのです。
相も変わらず、自動車購入補助とか不動産補助が主になりますが、ここの業界というのは税金漬けになりますので本当に見通しが暗くなると思います。
参考までに補助金漬けの企業や自治体で永続的に儲かるような業界、企業、団体はありません。補助金をもらえば、甘えの体質になり、結局、衰退していくものです。
つまり政府としては来年10月に発表される経済指標というのを、あまりにも悪い数字にしたくないのです。そうなると、今年の経済指標の良さを押さえたいという思惑があると思います。
つまり「今年の10月にはよい経済指標を出したくない」ということなのです。
だから円安をあまり進行させない?いやいや。去年の9月から何が起こりましたか?
衆議院の解散によって株価と円安、そしてFRBのQE停止によって景気は好調になりましたから、今年は去年の景気の良さを超えるのは至難の業です。
でも、株価は去年よりも高い水準で、これ以上、株価を上げてしまうと、来年がすごく悪い数字になっちゃうんだよね。だから、日銀はETFの買いを控えている、これが真相だと思います。
ともかく、来年の消費税増税に備えて、今年の山は高くしたくない、なぜなら、増税後に景気が冷え込んで、安倍さん以外、増税をした政権はもったことがないので、政権から放り出されることは避けたい、という思惑があるはずです。
本格的な円安は11月以降
となると、円安は相当、現在煮詰まっていますが、本格的に円安になるのは11月以降になるのではないのかな、と思っています。ともかく、増税前の直近の景気が悪すぎる政権の不人気になり、増税があだとなり政権崩落になる可能性があるからです。
ですから、7-9月の景気を押さえたい思惑が政府にあります。日銀が株式のETFを購入しないのはこういう意味ではないのかな、と思います。
こういうこと書くと、必ず、外為業界で同じようなことを言いだす奴がいるのです。間違いなく同じことを言いだす奴はいます。今回の人民元安とドル高の問題に関しても私と同じことを言いだす奴ばかりでした。
たいていはこのブログが起点になっているのです。
同じことを言ってもいいけど、きちんと出展を明らかにして話すなり書くなりする、というのが礼儀でしょ。黙って人のアイディアを自分のアイディアのように話す奴はバカ認定します。
そもそも、彼らにこういう発想はない。今回の前年同月比のことは去年も書きましたが、ほとんどの方は理解していないと思います。今回も理解できない人が多いと思いますので、また何度も何度も説明してまいります。
(この記事を書いた人:角野 實)