おはようございます。ようやくお盆休みも明けて、マーケットは正常化してくるでしょう。しかし、この間のメディアの報道はひどいとしか感じません。
お盆期間中にコメントをしていた専門家と称する人たちは休み気分の浮かれ気分でどれもこれも聞くに値しないものが非常に多かったと感じます。
ともかく、もう少し、真面目に仕事をしなさい、と言いたくなるものが多かったと思います。しょせん、人のお金と思ってコメントするくらいなら休んでいろ、と思います。
自分のお金であったら必死になるくせに、他人のお金になると知らんぷりを決め込む人が人気コメンテイター、これだけでも信用に値しないことがおわかりになると思います。
米中再交渉について
週末にアメリカが中国と再び、関税問題について再交渉をすると報道されました。その中で私が注目をしたのは、人民元安についての交渉です。
この再交渉が発表された瞬間から人民元安が訂正され、一転、人民元高ドル安に移行をしています。
中国側からみれば、今まで、貿易戦争の関税上げによって失う損失が人民元安で相殺されることを想定していたと思います。これは、短期間に人民元安が進行したことからもわかるようにアメリカもそのことを認めていたような節もあると思います。
ところが、今回は一転して、ドル高人民元安の再交渉だとか言い出しているのです。もう滑稽を通りすぎて、笑うほかありません。この過程に中国サイドは何も不満を漏らしておらず、どっちがこの貿易戦争が有利なのかは言うまでもありません。
報道は、アメリカ有利を連呼しています。何もおわかりになっていないのでしょう、と思います。
そして今週に入って、アメリカと中国の首脳会談を行うことをアナウンスメントしています。これは中間選挙前なのか、後なのかは非常に重要なことですが、おそらく選挙後になるのでしょう。
こういう会談を設定するのには、アメリカ側からの発表なのでトランプさんに何かの思惑があるかと思われます。要するにある程度の中間選挙の票読みは終わったと思っています。本人も敗戦を覚悟していると思います。
中間選挙の結果はなぜトランプ敗戦と思うのか?
先週のメインテーマはトルコという世界経済にとってどうでもいい話でした。しかし、トルコと対立したアメリカの方の動向からみると、驚異的なテーマであったと思います。
この経緯は言うまでもなく、トルコが拘束している牧師を解放する、しない、と言った問題なのですが、結局、トルコはトランプの度重なる脅しに屈することはなく牧師を解放しませんでした。
私からみれば、これは当たり前のことで、アメリカはトルコ国内で容疑者となっているギュレンというイスラム教の指導者を保護しており、トルコは牧師を解放するなら、ギュレンの解放を要求します。
しかし、アメリカは拒否をしているという話が抜け落ちているのに、報道は一切、その話をしません。加えて、トランプはこういった片務的な要求をするのに見返りを提示することを一切しませんでした。
これで話がまとまるわけもなく、私の予想通り物別れになっています。こんな状況は、どうでもよいことであって、本当に大事なことはこの事件の影響になります。
先ず、トランプ大統領はこのトルコが拘束しているキリスト教福音派の牧師を解放させると連呼していることが問題なのです。おそらく、牧師は解放されることはないでしょう。
理由は上記の通りです。この場合、一国の指導者が牧師を解放させる、といって、トルコであればアメリカの方が圧倒的に強いのですから、国民は必ず、牧師は解放される、と思う訳です。
でも、実際は中間選挙の投票日までにその解決の見通しになっていなかったら、どうなりますか? 解決するなんて思っていませんけどね。
誰でもわかると思いますが、アメリカが強い国だと信じている有権者は共和党なんかに投票なんかしません。いいですか、トランプさんの言っていることは北朝鮮に拉致された被害者を1か月以内に帰還させる、と安倍さんはこんなことは絶対に言わないと思いますが、言ったと同じようなことです。
私たちはその成果があがれば、安倍さんに投票し、安倍さんは選挙に圧勝することでしょう。でも、帰還が困難な場合には、間違いなく自民党は大敗になるでしょう。
この事実をトランプさんで考えれば、トルコの問題を解決しない限り、トランプさんの中間選挙での勝利はなくなった、と、個人的には考えています。北朝鮮の大学生解放は、お金を使わず、脅しだけでやったのに味を占めて、二番煎じをねらったのでしょう。そうは問屋が卸さなかっただけの話です。
トルコ問題でも敗者はアメリカ
ここでお話しをしたのかは記憶がありませんが、中国との貿易戦争でもアメリカの敗北は決まっていると思っています。今回のトルコの問題でも、ほぼアメリカの敗北は決定的になっています。
たとえば、数年前から問題となっている中国の海洋進出問題です。これが典型的な例になりますが、中国は日本をはじめとして東アジア各国やインドにまでそのプレッシャーをかけています。
でも、悉く失敗していますよね。たとえば、日本の場合、尖閣の問題が発生したときにアメリカにすがりました。日本の場合はアメリカが一言いえば済んだのですが、ほかのアジア各国は、日本、アメリカ、ロシア、ヨーロッパが加勢をしたから負けたのです。
つまり中国が大国の論理をかざして、弱い国は言うことを聞け、とやったのですが、小国はそれ以上の加勢を得て、中国を追い出しただけの話です。今回のトルコも同じ構図です。
アメリカがトルコを脅迫し続け、結果、トルコはイラン、ロシア、ユーロを味方につけました。アフリカもトルコ支持でしょうし、日本も本音ではトルコ支持でしょうが、安全保障の問題も絡みアメリカ支持に表面上廻るだけで、裏でトルコを支援すると思います。
なぜなら、日本はトルコに莫大なお金を貸しているからトルコ経済悪化は困るのです。要するに大国がその力を誇示して、小国をいじめれば、それ以上の戦力や勢力が生まれるのは戦略論としては当然のことです。その結果、いじめられた側が歴史をみていると必ず勝つのです。
すなわち、中間選挙前までトルコとの対立の結果をトランプは必死に隠し通すと思いますからトルコとの対立との最中にいきなり中国に目線をそらしただけの話です。
イランをいじめているときに、いきなりトルコいじめに走ったのも同じ構図です。要するにイラン産原油の禁輸を同盟国にアメリカは求めましたが、トルコ、中国、韓国などは言うことを聞かなかったのです。
その中でも、同盟国であるトルコがイランとの関係を維持する、と宣言したことがトランプの癇に障っただけの話です。それを、人権カードなど切ったから話がおかしくなったのです。
素直に、イラン産原油を輸入し続けるのが気に入らない、と言えばいいものを、楽々、牧師を取り返せると思って、アホなことで喧嘩を売ったのです。結果は、現在の状況です。
つまり、牧師解放なんてものは、アメリカが保護しているギュレン師を解放しなければ無理な話ですし、この交渉が膠着している中でトルコに味方する連合がアメリカを上回る勢力になってしまっているのです。ほぼ、トランプの負けが確定しているのに、現実の報道はどうなっていますか?
私からみれば、アホ、いい加減にしろ、と思うのが当たり前の話です。トランプさんの良いところというのは「言ったことは必ず実現する」ということが、彼がそれなりの人気を誇っている理由です。しかし、現実に中間選挙までにトルコとの各種問題は解決すると思いますか?
牧師さえも解放できない、と有権者が判断したら選挙の大負け確定になります。もちろん、それはトランプさんが一番認識しているでしょうから、どうやってその事実を隠すのか奔走し、お得意のツイッターでトルコを脅し続けることでしょう。
このことが見えていれば、トルコを弱気?新興国を弱気?できるわけがないじゃないですか?アメリカは中国にドル安にすることを要求しているのに、円安ですか? バカとしか言いようがありません。ユーロを弱気?ポンドを弱気?笑ってしまうほかありません。
(この記事を書いた人:角野 實)