マーケットに対峙をしているときに、自分の予想と反対方向にいって「フリーズ」してしまう人を、私は何人もみています。
なぜ、この方たちは損切りできないのであろうか、ということをいつも思うのですが・・それを今回の記事で検証してみようと思います。
「リスクの選択」を考える
若い頃が多いと思いますが、朝、もう少し寝たいと思って寝てしまう。そういった経験は、誰でもあるのではないでしょうか。
いつも起きる時間よりも、20分多く寝た場合、毎日の事なので誰でもそのリスクはわかると思います。
1.最悪のリスクは出社時間に遅れるという「遅刻のリスク」
2.それと、いつも取る「朝食を取れないリスク」
3.普段は歩いて行けるところを「ダッシュで駆け抜けなければならないリスク」
ありとあらゆるリスクが「たった20分多く寝たことによって」発生します。
これを、マーケットに当てはめてみましょう。たとえば、アベノミクスが始まってドル円のレートが極端に円安に振れました。世間も今後も円安といっているし、自分も円安になると思います。
ですから、直近のドル円の高値近辺125円でドルを買いつけをしました。しかし、125円をつけてから全然、円は安くなりません。世間は相変わらず、円安になると騒いでいますが、マーケットには世間の声が全く聞こえないように見えます。
少し、不安を持ちながらそのポジションを放置しました。なぜなら、今後のドル円相場がどうなるかは自分に確固たる自信もなかったので・・ここは世間の声を信じることにしたのです。
その人の今後はどうなる?
私からみれば、この人はアホです。まず、マーケットに自分の大切なお金を賭けるのに「世間の声」を一番大事なことにしてしまったという行為が一番、間抜けでアホな行為になります。
所詮、世間の声など無責任極まりないもので、その責任などは誰もとってはくれない、という前提条件がすべて抜け落ちてしまっています。
たとえば、遅刻をしないように、起きて会社に出勤をするために何分以内に起きないといけない、そのためには「これとあれ」が出来ないリスクがあると、布団の中で普通の人は判断をします。
しかし、マーケットの話ではちょっと儲けたプロと称する人たちが「未来はわからない」と勝手に妄言を放つ状態です。未来はわからないなら、予想するな、と個人的には言いたいのですが、自身が言っていることが矛盾をしていることも気がつかない、ヘボな相場師が世の中には多く存在をします。
このホンの少し儲けたプロが幅を効かせている状態で、未来がわからないから想像する前に損切りをせよ、というのが彼らの主張なのですが、言っていることが矛盾しているので素人は絶対に納得はしません。かくてドル円相場が、円高方向に行き始めてもいつかは円安になると信じて、
「負けのポジションを引きずり自分の財産が全部飛ぶのを座して待つ」投資家が今日も一人誕生という構図になるのです。
彼の失敗の理由は?
自分の考えではなく、自分の考えを世間に預けてしまったのが負けた理由の第一義になります。
上記の朝寝坊の件では、自分のことなので、自分がどういうリスクを負うかは自分が一番わかっているので自分で判断をして適切な行動をとるでしょう。
しかし、マーケットにおいては圧倒的な経験不足、イメージ不足によって自分が負けることを想像していない、損をしたときの対処法を全く考えていないという状態になります。
負けが込んできたときに自分がどうなるか?を全く想像していないから損のポジションを自分の財産がなくなるまで持ち続けるのです。
ましてや自分のことなのに、世間の意見に耳を傾けてしまったことが最大の敗因です。世間の言うとおりにしようと思った時点で、自分の思考は停止状態になり、負けた場合は大体、こういう人の場合は世間の所為にします。
対処法、損切りができるようになるには?
投資は「自己責任」というのは何度も聞いていると思います。上記の例をみるといかに損を人の所為にする人が多いかよくおわかりになったと思います。
自分に当てはまると思った人は、反省をしてください。遅刻の時はあらゆるリスクが思い浮かぶのに、マーケットのときはリスクが思い浮かばないのは圧倒的な経験不足と、知識不足。
そして自分の知識、経験不足を世間の声に棚上げしてしまったことになります。要するに事前の準備不足が圧倒的に負けた理由になります。準備のない投資などは負けて当たり前です。
プロスペクト理論とは?
プロスペクト理論というのは行動経済学の論理になります。
【ウィキペディアから引用】
プロスペクト理論は、不確実性下における意思決定モデルの一つ。選択の結果得られる利益もしくは被る損益および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデルである
。
プロスペクト理論は、不確実性下における意思決定モデルの一つ。選択の結果得られる利益もしくは被る損益および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデルである
。
プロスペクト論については、有名な2つの質問があります。
質問1:ある男に、2つの選択肢を提示される。
A:100万円を貰える。
B:コインの表が出たら200万円、裏が出たらゼロ円。
さて、あなたはどちらを選択するでしょうか?恐らく多くの方は「A」を選ぶのでは?
次の質問です。
質問2:ある男に、2つの条件を提示される。しかし、質問1と違うのは貴方が「200万円」の借金を抱えてしまっているという事実。
A:100万円を貰える。(借金が100万円に減る)
B:コインの表が出たら200万円、裏が出たらゼロ円。(借金を全て返済できるチャンス!)
質問2では「B」を選択する人が多いとされています。上記の質問は「期待値」は全く同じになります。しかし、人間の心理では質問1では「A」を選び、質問2では「B」を選ぶ傾向があるのです。これが、プロスペクト理論の特徴になります。
プロスペクト理論の有用性
上記の説明を見ても面倒な事が書いてあると大半の読者さんはお思いになったと思います。心配しないでください、私もそう思っていますので。
実際にこんなことを知らなくても損切りをたくさんすれば当たり前のことしか言っていないことに気づくと思います。ですから、このような行動経済学を理解する必要もないし、また理解する必要もないと個人的には思います。
簡単に説明をすると「人は確実性を求めるが、いざ、ギャンブルの修羅場に入るとリスクの高い選択をする可能性が高い」ということ。
また「損切りの金額は実際の価値よりも金額が多くなるとその痛みも感じにくくなる」というのが、プロスペクタル理論の要旨になります。
でも、これは事前に準備して用意周到に計画を立てると全部回避できるリスクなのです。単なる思いつきで行動をしている人が陥る罠ですよね。こんな難しいことを理解する前に、準備をしっかりしたほうがいいと個人的には思います。
さて「結論」です。
損切りができない理由というのは、結局、準備不足、知識不足、経験不足。
プロスペクタル理論に損切りを出来ない理由を求めるのは、その場限りの思いつきで行動している投資家が言い訳で「損切りできない理由」に解を求めただけのようにしか思えません。
こんなことを勉強する前にしっかり事前の準備を進めるべきだと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)