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中国が緊急に人民元の設定レートを切り下げてから、あらゆる国々の株式相場が下押しをしており、一連の流れを「チャイナショック」と言われています。
個人的には中国の発表の数字など全く信用はしていませんので、何があっても驚きません。
国家体制も日本を含めた他の自由主義国家とは全く違うものと、認識をしていますので今後、中国は私たちの常識では測れない国という認識を私たちは持たなくてはいけません。
中国人民元切り下げの波及効果
中国の人民元切り下げによって、「他の東アジア諸国通貨は通貨高になりますよ」と、私は以前の記事（もう一段の人民元安の政策もあり得る！中国の真の狙いとは？）で言いました。ところが、私が書いた直後にベトナムのドンが切り下げを発表しました。
人民元切り下げによって、その東アジア諸国の主な貿易相手国は中国になると思いますが、本来は東アジア諸国の通貨は自国高にならなければいけません。しかし、いろいろ専門家の解説をみると東アジア諸国通貨が安くなって当たり前という論調が主流を占めています。
私には理解不能な意見になりますが、貿易相手として人民元が切り下げになったのですから日本円は円高になるのは当たり前の話です。また、ユーロが上昇したのも当然になります。
中国の貿易相手国としての1位はユーロであってアメリカや日本ではありません。ですから、ユーロが上昇して当たり前ですよね。
ユーロが上昇した反動で、今度はユーロドルの絡みにおいてドルが下落する。そのドルの下落を受けて、もっと日本円は円高になるというのが、普通の説明なのです。
しかし、他の論調をみると、ユーロが上昇するのが意外という論調が多数を占めます。あまり、言いたくはありませんが、本当にこの人達はわかっているのか？と言いたくなります。
他の論点でも説明すると、他の諸外国の先進国通貨に比べてユーロは割安ですし、日本円も割安です。前にも説明しましたが、ユーロドルの理論値は現在「1.084程度」にあり、この理論値に一番近いのはユーロドルなのですから買いやすいマーケットになります。
現在のユーロの理論値はもう少し、下落をしているのですけどね。それに比べ、ドルの理論値はどの通貨に対しても3割程度割高になります。日本円は2割程度割安になります。
そうなると、ドルを売って他の通貨を買うのが当たり前の状況になります。話を元に戻すと、ベトナムドンが切り下げられる前までは東アジア通貨は通貨高の戻りに入っていましたが、ドンの切り下げが発表されると、また戻り売り歩調に戻ってしまいました。
これは、何を意味するか？といえば、簡単です。東アジア諸国は中国以上に経済の実態が悪いということになります。今、やたらと東アジアの政情不安が報道されるのも、結局は経済が悪いからだと思います。
トルコリラはマジでヤバい！
結局は中国で人民元の切り下げが行われると、通常はそれに対する通貨は全部、切り上がりを見せるのが通常の経済学や為替の常識になります。
しかし、現実は一緒に下がってしまった！という状況です。当然、中国、東アジア通貨が売られるということはそれに対して買われる通貨がないといけないわけですよね。
なぜなら、為替は相対的な取引、つまり、ドル円相場ならドルが高ければ、円は必ず安くなる取引なのです、だから相対的に買われている通貨を探さなければいけないのです。
それが「アメリカドル」ですね。それに追随して日本円やユーロ、ポンドが買われているのです。つまり、新興国から資金が流出しているのです。この説明はどこかで読んだことがある？と思う方は正解です。
もうすでに、9月以降に行われるアメリカの利上げを睨んで、新興国から先進国への資金の流出が起こっているのです。このアメリカの利上げによって起こった危機で記憶に新しいのは東南アジア通貨危機になりますよね。
現在は外貨準備が不足している国でも日本政府、ＡＤＢによって「チェンマイイニシアチブ」によって外貨の融通が協定で結ばれていますから、あのような危機が起こる可能性は低いとは思います。
しかし、リーマンショック以降に先進国の資本が新興国に流れていたのが、今回は逆流するというのがアメリカの利上げです。
トルコは経済成長が停滞気味になってその上に資金流出が起こったらどうなるのでしょうか？
同じことは南アフリカ、オセアニアにも言えますよね。つまり、今後警戒しなければいけないのは新興国になります。ロシア、ブラジル、南アなどは要警戒ですね。
（この記事を書いた人：角野 實）
