1日チャートを眺めていると、「あれ、またこのタイミングで動いた」という時間帯に気づくことはありませんか?実はそれ、偶然ではなくてちゃんと理由があって動いているのです。
今回はその中でも特に意識されやすい3つのタイミング、「仲値」「ロンドンフィクス」「ニューヨークカット」のお話をします。
朝は仲値に意識が集まる
まずは「仲値」です。仲値とは、銀行が顧客と外貨の取引をするときの基準となるレートのことです。
FXにおいては、秒単位で変わるレートをその場で取引しますが、銀行と主に企業との取引においては、煩わしさを避けるために、1日のうちのある時間のレートをその日の取引価格として定めます。
仲値とゴトー日とは?
仲値が特に意識されやすいのは、「ゴトー日」と呼ばれる日です。ゴトー日とは下一桁が5と0の日。
2月以外は月に6回ありますね。日本の輸入企業においては慣習的に、このゴトー日に支払いを行うことが多く、円をドルに換金する需要が高まります。
すると、金融機関の保有するドルが減ったり不足したりしますので、仲値以降の取引に備えるために、仲値までに円を売ってドルを買う取引を行います。
つまり、ドル円の買いということですね。このゴトー日仲値の性質を利用して、8時から9時のあいだにドル円を買い、仲値までに決済する取引手段、あるいは仲値以降ドル円を売るという取引手段が広く知られています。
ただしご承知の通り、ドル円相場は企業活動の要因によってのみ動いているわけではありません。
このゴトー日仲値を狙った取引がいつも成功するわけではありませんので注意しましょう。
オプションと関係が深いNYカット
続いては「ニューヨークカット」です。NYカット、ニューヨークオプションカットなどと呼ばれることもあります。アメリカが夏時間の間は23時、冬時間の間は24時がニューヨークカットにあたります。
ニューヨークカットとは、オプションを行使する締切時間です。オプションとは簡単にいえば、「○月△日までの間ドル円を120円で10万ドル買える権利」といった商品のこと。
これは為替変動のリスクを抑えたい企業や、投資目的のファンドなどが主に保有します。
オプション取引の一例を紹介
上記のオプションを例にとってお話すると、例えば権利行使時間近くまでにドル円が125円になっていれば、権利を行使して120円で買った後、すぐに利益を確定して5円分の差益を受け取ることができます。一方で権利行使時間に110円であれば、その権利を行使せず普通に市場で安く買うでしょう。
厄介なのは120円前後で推移している時。買った側は行使額より上でニューヨークカットを迎えたいでしょうし、売った側は下でその時間を迎えたいでしょう。
よって、大量のオプションが集中する水準に近い時は、そこを挟んで激しく変動することがあります。
そして、その時間が過ぎると解き放たれて一方向に動いていくことも多いので、取引の際は注意が必要です。
仲値のパワーアップ版、ロンドンフィクスって何?
最後に「ロンドンフィクス」です。ロンドンが夏時間の間は0時、冬時間の間は1時がロンドンフィクスにあたります。ロンドンフィクスは日本の仲値と同様、取引レートが確定する時間です。ユーロドル、ユーロポンドなどのユーロ通貨を中心に動きやすいのが特徴です。
特に月末においては、EUとイギリスの貿易状況を反映し、ユーロ買いポンド売りが入りやすいと言われています。欧州、アメリカの市場が開いている時間帯のため、ニューヨークカットからロンドンフィクス前後は相場が活発に動くことが多いのです。
日常的な動きの特徴を捉えて取引チャンスを増やそう
「金融政策」経済状況などの主要な変動要因を抑えておくことはもちろん大切ですが、日々の値動きの中でトレードする方は、需給面の要因で変動するこれらの時間帯を把握しておくことが大切です。
「
仲値に向けてドル不足が多め」「120円付近に大量のオプション」などといった情報はFX会社を通じて配信されていますので、取引の参考にされてはいかがでしょうか。