ユーロ相場ですが10月22日に「ドラギ総裁」が緩和示唆をしたことによって下落をしています。
ここで12月に緩和をしたらより一層下落傾向がひどくなると予想する人が大半になると思いますが、はたしてどうでしょうか?
ユーロドルの基準値
過去のコラムで、ユーロドル相場の基準値の出し方は解説をしていると思います。
下記のページに2014年の各国の「GDP」確定値が掲載をされています。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_GDP_(nominal)
この表によると、2014年のドルベースでのユーロの「GDP」金額は「18,527,116ドル」
アメリカは「17,348,075ドル」になります。
つまり、2014年ユーロドル相場というのは、ユーロGDP総額÷アメリカGDP総額にて算出をされます。この計算をすると、「1.0679」くらいになると思います。しかし、2014年のユーロの平均値は1.32くらいになりますのでそのかい離は0.26ポイントということになります。
実は、2015年3月につけた1.0464という水準は2013年の「GDP」の確定値を根拠に算出された数字になります。ですから、私はこの水準よりも売られることはない、ということでここから買いを推奨しているのです。
2014年基準値はすでに織り込み済み
2014年の基準値は「1.0679」なのですから、現在はその水準近辺にきています。この辺が底値になるというのが「ファンダメンタルズ」面から導き出される数字となります。
しかし、もう一歩進んで答えを出していきます。実は今月の安値というのにも根拠があるのです。今月、11月の安値というのは11.26現在で「1.0576」になります。
すでに、2015年の年間の予想が「IMF」や各国政府から出されていますが、ここでは10.3に発表された「IMF」の数字を基に計算をしてみましょう。今年の「IMF」による経済成長の予測はユーロ圏が1.5パーセント、アメリカは2.6パーセントになります。
それぞれの「GDP」総額に対して、この1.015と1.026を掛け合わせると今年の推計の「GDP」の数字が出てきます。その掛け合わせたものに、さきほどのユーロGDP÷アメリカGDPを除すると「1.0565」という数字が算出されます。11.26の安値が「1.0576」になりますので、ほぼ均衡点と言えると思います。
1.056くらいが安値のメド
この計算をずっと私はしていますが、この数字からかい離することはほとんどありません。ですから、ここの近辺に買いを入れることはいいことのように思えます。
しかし、ユーロが「量的金融緩和」の追加に踏み切った場合、さらにユーロ安になるのではないか?と思う方も多いと思います。実際に「ECB」が緩和を示唆した10月から、ユーロはドルに限らずどれもこれも下落をしています。
しかし、今年の3月の安値の場合はかい離がひどいという状況にありましたのでそれも仕方がないことだと考えることができますが、今年の年末は、全くかい離をしていない、むしろユーロの勢力とドルの勢力は均衡をしていると考えることができます。
つまり、もし、ユーロが緩和を実施してもそれほど下がらないのではないか、と考えています。
ユーロは間違いなく緩和をすると思う
今回、ほぼ、世間の報道のように12月のアメリカの利上げは確実な模様ですからアメリカに資金が集中しないように、ユーロがより多くのお金を出して新興国経済の資金援助というのを「金融緩和」という名目でする公算が非常に大きいと思います。
しかし、実際にはユーロが緩和してもそのお金が新興国に流れ込む公算は非常に低いのではないか、と個人的には考えています。そもそも、「ECB」のマイナス金利というのはある種の壮大な社会実験だと思いますので既存の経済学の常識通りにはいかないと思うのです。
(この記事を書いた人:角野 實)