日本では、2016年7月に参議院議員選挙が予定されています。参議院選挙は3年ごとに定期的に行われるため、政治状況によって実施されないことは基本的にありません。
選挙が行われる際には、各政党が新たな政策を示すことがあります。そのため、為替にも選挙が影響を与えることがあるのです。
政権はアベノミクスの成果を示したい
安倍政権は、参議院銀選挙で大きく勝利し、憲法改正をはじめとした取り組みを進めたいと考えています。経済最優先の姿勢を打ち出し、「アベノミクス」の推進に努めていることから、選挙ではアベノミクスの成功をアピールする必要があります。
「アベノミクス」が当初成功とされていた理由の1つに、円安と株高が挙げられます。野党からのアベノミクス批判が出てきた際には、日経平均株価の上昇や円ドル為替レートの変動という数値データによって、論理的に「アベノミクス」を擁護できました。
しかし、2016年初めごろから、株安・円高の懸念が高まりました。そのため、「アベノミクス」が失敗したのではないか、との意見が多くなりました。
日銀が「マイナス金利」政策を導入するなどの追い風も吹きましたが、株式市場や為替市場には不透明感が増しています。こうした状況の中で参院選を迎える安倍政権では、何としてでも株高・円安を実現したいはずです。
そのため、選挙に向けて積極的な景気対策が行われる可能性があります。その結果、一時的であっても為替相場に影響が出ることが考えられます。選挙が終わるまでは、安倍政権からの情報発信にふだん以上に注意しましょう。
選挙結果はある程度予想できる?!
選挙の結果によって、為替が大きく変動することがあります。特に、政権交代が実現するなどすれば、国の経済政策が大きく転換することが多いです。
そのため、選挙結果やその予想の変化次第で、為替レートが動く可能性があります。とはいえ、参院選での結果はある程度予想できるという考え方もあります。
安倍政権では閣僚の失言や甘利元大臣の辞任問題などが見られましたが、大きな打撃には至っていません。一方の野党は、安倍政権に対して十分な対抗軸を打ち出せていないのが現状です。
野党共闘の動きなど、選挙に向けた取り組みがみられはするものの、どの程度与党候補に対抗できるかは未知数です。このような状況を踏まえると、参院選ではおおむね安倍政権への一定の支持が確認される可能性が高いといえます。
したがって、選挙結果が大幅な野党の躍進にならない限り、大きく為替レートに影響することはなさそうです。もっとも、選挙結果が確定すれば、安倍政権の安定感が増したと判断され、日本の株価や通貨にプラスの影響が出る可能性はあります。
他国の選挙と為替への影響
選挙は為替レートに影響することがありますが、他国ではどのような影響がみられるのでしょうか。
例えば、日本の参院選が行われる時期に大統領選挙に向けた動きが進むアメリカでは、選挙の結果が米ドルの為替レートに大きく影響します。
というのも、2大政党制となっているアメリカでは、どちらの政党の候補が大統領に選ばれるかによって、政策が大きく変わるからです。また、アメリカ以外でも、新興国を中心に、安定した政権が築かれるかどうかが為替レートに影響することがあります。
そのため、FX取引をする際には、選挙関連のニュースには細心の注意を払っておきましょう。また、重要な事象が発表される際に相場に張りついていられない場合は、いったんレバレッジを下げたり、ポジションを解消したりしておくと安心です。
選挙関連のニュースには要注目!
2016年は、日本の参議院選挙のほか、アメリカの大統領選挙もあります。
日本人が行うFX取引では、日本円がらみのペアが多く取引されます。そのため、選挙に関わる動き、とりわけ日本の選挙関連の動きには注目が必要です。
また、衆参同日選挙になった場合には、選挙結果が政治に与える影響が大きくなります。同日選になるなら、より一層為替レートへの影響に気を配ってください。
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