やはり、今回の離脱問題に関して一番の被害をこうむるのはユーロであろうとたしか、4月、5月にユーロの基準値を参考に定義をしたと思います。
お忘れの方も多いと思いますが、ユーロドルの今年の基準値は「0.903程度」であったと思います。
現在のレートと離れすぎの状態であって、これが下がるのは当然、必然になります。
よってパリティー割れなんて、今後の展開によってはかんたんに割ることになるであろうということは以前もお話しました。
ECBの勧告
このイギリス離脱問題で「ECB」がスペイン、ポルトガルの債務比率の改善、そしてイタリーの銀行の「不良債権処理加速化」を求めました。
このイギリス問題でゴタついているときに、何もわかっていない専門家はなんてことをするのだと騒いでいますが、放置すればイギリス問題がユーロに時間の問題で飛び火するのはよくわかっていることです。
トラブル管理、リスク管理の基本中の基本というのは、結局、悪いところを即座に発表すること、そしてそれに対して、ポジションの訂正や、謝罪を行うのが基本ということがわかっていない人があまりにも多すぎる。
昨今の日本では謝罪をすれば、それで済む、ポジションを訂正すれば済むと考える人が非常に多いのですが、日常生活で相手に謝罪をすれば済むと思っている方などは何もこのリスク管理なんか理解していないのに等しいことです。
謝罪すれば全てが終わると思っている方というのは考え方の基本が変わっていない人なのです。
つまり、ポジションを間違えました、ごめんなさい、といってまた同じことを繰り返すバカが後を絶たないのです。なんで、間違えたのかをもっと考えなくてはいけないし、それがリスク管理の基本中の基本です。
私の言うことなど信用できないという方は、世界の投機家「ジョージ・ソロス」はこのことを超越して自分の考え方が間違っていないかを何度も検証し、その考え方の間違いを徹底的に追及する、私から見ればどこまで「ドM」なのか、と思うくらい素晴らしい考え方の持ち主です。
世界のトップがこう考えているのに、あなた自身がどうなのか、を、もっと考えるべきです。
話を元に戻すと「ECB」は完全に秋以降に「ユーロ危機が再燃すると読んで先手を打っている」と推察することができます。先の専門家の指摘通り、確かに今の時期にそういった勧告を出すのは非常によくありませんが、それを承知の上、その勧告を出したことに非常に重要な意味があるのです。
ですから、秋以降は本当にユーロが「ヤバイ」状況になるとは思っています。
イギリス・ポンド、日本・円について
イギリス・ポンドの基準値は1.1ドルくらい、日本円は70円くらいが今年の基準値であることは前に触れました。この基準値が必ずドルに対してのものであるということを何度も書くまでもなく覚えてください。
日本でポンドの基準値を触れるとなんでポンド円ではないのか、というご指摘をたびたび受けますが、ポンド円という東アジアのローカル通貨なんて世界の誰も見ていない、FXは世界相手の勝負事であって、極東の島国のモノではないことをいい加減に覚えてほしいと思います。
この基準値と現在のレートを見た場合、かい離はユーロよりもポンドや円の方が大きいとみることができます。しかし、もともと、ポンドも円も基準値が高すぎただけの話です。ポンドの場合は私の記憶では10年以上前から割高だし、日本円も「アベノミクス」がスタートしてから高すぎるのです。
一方でユーロは毎年、近年できた新通貨ということもあって、毎年、基準値に落ち着くのが一般的でたいていの場合1-2パーセント高で推移をするのです。
つまり、これまでの経緯をみると、ユーロの方が圧倒的に下がり易いのです。だから、ソロスはユーロ、特に「ドイツ銀行」を売るのです。「ポンドは自身のポジションは買い」と明言しています。
もちろん、ソロスの下には何人もの「ファンドマネージャー」がおり、そのメンバーは毎年、半数以上が入れ替わっていることを忘れてはいけません。
ソロスの考え方は単純明瞭で、ユーロが下がれば、自動的にポンドが上昇するという意味でのポンド買いであって、ソロス自身は本当にポンドが買いであるなんて夢夢思っていないということを認識するべきです。だから、素人が投機家の言葉なんて取材や、報道を信じることなんて愚の骨頂なのです。
もう一度、書きますが「ジョージ・ソロス」はポンドが買いなんて思っていないのです。その本当の意味は「ユーロよりもまし」という考え方においてで言っているのです。
(この記事を書いた人:角野 實)