前回、企業物価と株価を比較した際に為替と株価の関係もチャートにしてみました。
以下がチャートになります。図は2011年1月から2016年7月までの月の終値をプロットしたものになります。
完全に株価が先か、為替が先かはわかりませんが、要するにニワトリが先かタマゴが先かのナンセンスな議論であって相関していることは間違いありません。
赤がドル円レート、青が日経平均株価になります。ご覧の通り、ほぼ株価とドル円はほぼ一致した動きになっているのです。
ですから、株価が上がる見込みであれば、為替が円安になり、そして逆に為替が円高になる見込みがあれば株価は下がるのです。
相関係数は計算をしていませんが、相関性ありという数字が出るのは間違いのないことだと思います。
東日本震災直後の不一致期間
上記のチャートは、2011年からになります。2011年3月に「東日本大震災」がありましたので、株価が上昇しているのに、為替が円高気味のことがあります。
想い起こされるのは、震災の直後に、世界同時の国際的な通貨に対する「国際協調介入」があり、その後、震災復興の予算が投じられたのは間違いのないことだと思います。
つまり、国際的な通貨の「協調介入」によって日本の通貨の暴騰を食い止め、そしてその復興予算によって株価の押し上げ効果をもたらしたと想起されます。
この国際協調介入によって円高の進行に歯止めをかけ、そして復興予算によって株価の押し上げを行ったと推測することができます。
つまり、国際的や、日本国内における日本政府や日本銀行の政策の変更が行われたときには、必ずしも、株価と為替の動きが一致するわけではない、ということは覚えておきたいものです。
今秋から始まる世界的な金融緩和ではどうか?
「伊勢志摩サミット」で世界の各国が機動的な財政出動を約束をしていますので、それを履行するのは間違いのないことでしょう。たとえば、日本の場合は、政府が28兆円の補正予算を組んで「金融緩和」を実施するのですが、その効果は「GDP」に対して1パーセント未満です。
日本の「GDP」が500兆円とするとその1パーセントは5兆円です。つまり日本の28兆円のお金を使うのにも関わらずその利益金は5兆円未満という、会社の経営であれば即倒産をするような、経営を日本政府はしていると思わなくてはいけません。
誰がどうみても、日本の行政府や立法府の方々は会社ならばクビなのですけどね、なんであんなに偉そうなのか、よくわかりませんよね。こんな赤字を出しているのに堂々と給料をもらっているのが不思議でたまりませんね。
つまり、私が再三いっているように「金融緩和」など「アベノミクス」初期のものを想定すると手痛い目にあうということです。ところがここに「日本銀行」が参戦すると、違うものになります。政府は予算の編成の提案を議会にしますが、その予算の範囲は決まった上限がありますよね、
しかし「日本銀行」は、お札に日本銀行券と書いているようにお金の発行権があるのです。つまりやろうと思えば「上限なくお札を発行できる」のです。
秋の本格的な緩和にむけての準備を声明でだしましたので。ですから各国政府は今は、どこも「財政赤字」をかかえ、規模にしては、言い方は悪いことになりますが、ショボイモノになるのは明白です。
しかし、そこに各国の「中央銀行」が加わった場合はFXにおいても爆発的な値動きになる可能性があります。その「伊勢志摩サミット」の議長国である日本が、「中央銀行」の総裁自らが、その可能性があることを示唆をしているのですから、秋の緩和には期待できるといものになります。
では、今後の可能性
前にも示した通り、株価と企業物価の関係が非常に現在は「かい離」をしている状況です。
この状態を経済学ではバブルというのですが、日本の報道はバブルという検証も質問もせずに、ただ安倍政権の提灯記事を書いています。
この報道は期待しても無駄でしょう。問題なのは、今後の日本は株価に即した動きになるのか、それとも物価に即した動きになるのか、ということです。
私の意見は、今は、おそらく株価に即した動きを来年の2月、3月まで続けるだろうということです。
(この記事を書いた人:角野 實)