つまり、もともとは「G7サミット」に対抗して作られた会議だったのですが、先進国と新興国が対立していても、いいことはない、という性格上から国際協調会議となったのです。
しかし、いくら新興国が力をつけてきたとはいえ、現実的には先進国の資金援助なしには新興国の成長はありえないという新興国の思惑が大きく、また先進国にすれば新興国を取りこんでおいきたいという思惑があります。ですから、一般的には「G7」の下部組織という認識でいいと思います。
今回の決定
世界経済、成長戦略、というテーマが大まかな内容にあると思います。これは、先の「伊勢志摩サミット」で決定をした「機動的な財政出動」ということに何ら変わることがないと思います。
つまり、「G7」で大枠の決定をして、細部の検討をするというようなことになると思います。その中には今月の「FRB」の利上げ決定によって起こる為替相場や株式相場への影響等も勘案されますし、先進国の中で乱れている、イギリス、ユーロ圏の対処法もあります。
また、中国の過剰生産、設備への不満も当然、討議はされると思います。どちらにしろ「リーマンショック」後、そして去年の年末に行われた「FRB」によるFFレートの利上げはある程度、世界経済に混乱を与えています。
具体的には年初に始まった日本株、ドル円レートなどはそれまでの株高、円安基調に大きな流れを変えてさらに円高基調を促進したことからもわかるように、ドルの変化基調が鮮明な状態にあります。
アメリカにとっては、利上げをしたにも関わらず、ドル安が進行して、ドル安が進行すれば株高を演出できるという、願ってもない展開であって今年の前半はアメリカ経済になぎが吹いているといっても過言ではないでしょう。
しかし、今回の「G20」の会議を経てもアメリカに緊急経済対策が行われることは、新大統領候補2人も名言をしていますから、確実です。日本も補正予算を今月の後半から審議をします。
つまり、世界的な「金融緩和」が行われることは確実な情勢になっています。だから、日本株も商いが低調なのに上昇をしていくという状況になっています。
世界的な金融緩和観測が高まっているのに
いまだにまだ「円高論者」がいることに違和感を覚えます。世界的に「金融緩和」をするということは、おそらく「日本円は円安に傾くことになる」と思います。
そして、今回は日本銀行との協調によって日本政府が「金融緩和」を実施するか、否かということが焦点です。補正予算は28兆円規模という形になりますが、やはり数量としてはかなり疑問符がつく内容になると思います。
このジャクソンホールでの討議内容はほぼ、世界の政策の指針と一致しますのが経験則ですので、おそらく「マイナス金利」の拡大を今後実施するでしょう。となると、円高になる可能性も念頭におかなければなりません。
今後はECB
何度もいうように、日米の金融政策決定会合に先行をして「ECB」の金融政策決定会合が開かれます。「リーマンショック」以降、アメリカの「金融政策」が変更される場合は、日欧も協調するというのはおそらく踏襲されると思いますので、今後は「ECB」が重要になります。
中国の過剰輸出に神経過敏になるユーロ首脳をみると相当、深刻な状況にはなっているとは思います。ただ、アメリカの9月の利上げに対してはかなり個人的には懐疑的で、おそらく12月にまた利上げするのであろうと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)